転職を悩んでいる・迷っている人に読んで欲しい一冊「転職の思考法」

会社に属している人なら誰しも一度、いや二度三度は「辞めたい」「転職したい」「このまま今の会社にいていいのか?と思ったことがあるのではないでしょうか。もちろん私自身も、一度二度ならず、いや、四度五度は現職を辞めること、転職することを考えたことはあります。幸いそう思うたびに、社内で異動があったり、体制が変わったりと救われてきました。が、そんな幸運なケースばかりでもないと思います。転職したいと思う理由は人それぞれです。ただ、どんな人にでも「転職したい」と思ったら、絶対に一度読んで欲しい本、それがこちらで紹介する「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む転職の思考法」です。人事観点からも印象に残った部分をいくつか合わせて紹介いたします。

あらすじの簡単な紹介

内容は小難しい解説ではなく、ストーリー仕立てで進み、主人公とその主人公を導くコンサルタントとのやりとりを通して要所要所で様々な観点からのアドバイスを自分(読者)自身が受けることができ大変わかりやすい作りとなっています。

主人公が過去の苦い思い出となった転職活動において、接点のあったエージェントとの再会から物語は始まります。そのエージェントから紹介のあったコンサルタントとの出会いから、主人公は「転職の思考法」を身につけていきます。そんな中、現職の会社での突然の異動や、同僚からの転職の誘い、組織内での不正の発覚など、物語としても山谷あり読み応えがあります。

主人公がどんなきっかけて転職に目を向け始めたのか、また、現職における上司や同僚との関わりなども作り込まれており、自分を主人公の立場に置き換え読むと、さらにスッとコンサルタントの言葉が頭に入ってくると考えます。物語の結末は…是非、それも一つの楽しみとして読んでみてください。

ポイント1 自分を知るところから

転職活動において一番大切なことを再認識させてくれる。それは、本書の中で書かれている、「判断軸」や「思考の軸」などが当てはまるのですが、転職にはこれが一番大切であると感じます。また、合わせて書かれているのは、自分のマーケットバリュー(市場価値)の確認方法です。一体自分はどんな強みがあるのだろうか?この強みを認識すること、自分がやりたいこと何かを知ることも転職活動においても非常に重要なポイントと考えます。

と、これらは実は新卒の就活時もやっていたことと近しいかもしれません。所謂、”自己分析”ですね。幾つになっても定期的に自身を見つめ直し、自分のことを知ることは必要ということを改めて思い知らされます。

”自分を知る”というのは昨今、さらに注目が高まりつつある”内的キャリア”でも非常に重要なキーワードです。

ポイント2 会社の選び方

転職する時にもう一つ重要な要素はこちらです。この本においてもその観点が丁寧に書かれています。自分の強みを知り、その強みがどこで活かせるのか、自分がどんなことを求めるのか、そういった自分の「判断軸」「思考の軸」を作り、それをベースにどんなマーケットのどんな会社、どんな仕事を選ぶのか。ただ、なんとなく転職エージェントの紹介された会社を受けるのでは、本当の意味で自分が求めていることを実現できる会社には早々出会えません。

ポイント3 転職エージェントの使い方・転職方法について

ただ、”転職したい””仕事を辞めたい”だけで、いきなり転職エージェントへ登録して活動をすることのリスクも解説されておりこの点は非常に共感できます。転職エージェントは短期的な視点で活動を進めており、本当に自分にとって良い会社をすすめてくれるとは限りません。転職エージェントもまた多くが会社から雇われており、”期中に何人、顧客(会社)に入社させられたか”という成果で評価を受けています。これらは、私自身が人事として日頃から転職エージェントと接していてそう感じる瞬間も多くあります。そのため、良い転職エージェントの見極め方、これも要チェックポイントです。転職方法もエージェントだけではなく、様々な方法を活用することも触れてくれます。かつ、企業の観点からどのような使い分けで企業が中途採用者を確保しようとしているかについても触れられています。

・転職エージェント
・ダイレクトリクルーティング
・リファラル採用
・ヘッドハンティング
・直接採用

などなどです。一つの方法だけではうまく希望する企業にも出会えません。いくつかのチャネルを活用することが必要ということも教えてくれます。

おわりに

本書で書かれていることは、これまで自分なりに人事として働いてきた自分にもすごく刺さるものでした。自分自身も”このまま今の会社にいていいのか?”と思ったことがありましたし、本書にあるように、優秀な同期から辞めていくように見えたり、漠然とした自分もこのままでいいのだろうかという思い、迷いを持っていましたが、本書を読んでそんな持っていたモヤモヤが少し晴れた気がします。

これからの社会においては、会社からも「転職の思考法」を体得することが求められるかもしれません。むしろ、個人的には、自社の従業員、自社に転職で応募してきている候補者、そういった多くの人達に是非とも一度読んで欲しい、と心から思った一冊です。

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む転職の思考法 [ 北野 唯我 ]

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