【転職】保健師・看護師の企業勤務という選択肢について

コロナ禍となり保健師・看護師の方々も色々とキャリアを見つめ直す機会が増えていると聞きます。企業(自社)での人事担当者の観点から、そんな方に「企業勤め」、という選択肢をお伝えしたいと思いこの記事を作成いたしました。ご存知の方もいるかと思いますが、実は、大企業ではその敷地の中に自社の従業員を対象とした簡単な診療施設があったり、また、安全衛生の観点から産業医とともに日々の保健指導や健康相談等のための健康管理部門があったりし、そこには保健師・看護師の方も働いています。一般的には産業看護師(保健士)や企業看護師(保健士)と呼ばれています。

企業における保健師・看護師の仕事内容とは

診療施設(内科等)がある企業であればそれに応じた一部医療行為があります。ただ、企業の建屋内の診療施設は基本的に簡易的なものが多く、医師の方もアルバイトで来ているケースも多いです。そのため、いわゆる、日常の中で従業員が「なんか調子悪いです」「熱っぽいです」「風邪かもしれません」といったケースの対応がほぼ全てと考えます。

加えて、企業ならではのモノとしてあるのが、企業から専任されている「産業医」と一緒に従業員の健康管理業務を行うことです。どちらかというとこちらがメインかつ、主な仕事内容の想定となります。(従業員50人以上の企業で設置が求められており、従業員1000人以上ともなると専属の産業医が設置されています。)

従業員の長時間労働による健康障害の防止

企業ではまだまだ長時間労働が常態的になっているところも多く、企業として定期的にそういった従業員のケアをすることは非常に重要な対応の一つです。産業医と連携し、長時間労働を行なっている社員との定期的な面談を通して、健康状況のモニタリングを行い、必要に応じて企業人事部門と連携し、職場に残業抑制を促す等の対策を行います。

従業員の身体的な健康増進施策の推進

禁煙サポートのための取り組みや、従業員の昼休憩の際に血圧を測る等イベントの企画推進をしたり、健康相談にのったり等、従業員の健康増進に寄与するお仕事に取り組みます。

従業員の精神的な健康保持増進施策の推進

長時間労働に限らず職場の人間関係や、家庭状況等何らかの原因で精神を病む従業員もいます。産業医や、従業員の主治医と連携をとり、従業員の職場復帰へのサポートを行います。罹病率をまとめて、傾向を分析したりし、資料を作り報告することを担うこともあります。

安全衛生委員会への参加

従業員の心身の健康を守るための委員会ですが、こちらにも産業医・人事部門とともに出席し、報告、取り組みの提案などを行うこともあります。

もしもの際の対応

まれに起こりますが、会社内で従業員が怪我をした等あった際には、産業医や保健師・看護師に連絡が入りその、応急処置対応等が求められる場合があります。

企業で働く保健師・看護師の給与面

当然企業によって異なりますが、条件が揃えば非常に高待遇なところが存在します。そもそも、”保健師・看護師”であるという資格面での待遇の良さはあると考えますが、正社員としての雇用の場合、企業の中の給与制度上、普通の社員と同じ給与制度を適用している企業も多々あります。そのため、平均年収の高い企業の正社員採用であればあるほど待遇も高くなる可能性があります。

一例ですが、私の所属企業の話であれば、正社員である保健師・看護師で、
最低400万~最高950万程度
の幅の可能性があります。

企業で働くことのメリット

時間が定まっている

基本的にはその企業の就業時間と同じ仕組みで働くことになります。
そのため、その企業の就業時間が9:00ー17:00であれば、それと同じとなります。
また後述しますが仕事柄残業も少ないケースが多いと考えます。

企業の就業日によるため土日祝休みが基本

当然、休日についても同様に企業の就業日に沿って働くこととなりますので、土日祝がお休みとなるでしょう。(あくまで土日祝の会社が多いのでこのように述べましたが、会社として平日がお休みの場合はそれに準ずるケースもあります。)

年間休日数が多い企業では、就業カレンダー上の休みが130日弱。なんて企業もあったりしますので、ワークライフバランスは非常に取りやすい環境と考えます。

残業が少ない

企業ですと一般の正社員(営業や経理・財務、人事・総務、研究者、プログラマー、SE等)といった人たちは残業をしている人も多く存在するでしょうが、こと、健康管理部門の保健師・看護師業務についている方が残業をしているという話は私の知る限り(当社および幾つかの関連会社)では聞いたことがなく、非常にワーク・ライフ・バランスがとれた働き方をすることができると考えます。

基本はデスクワーク

一般的に病棟では立ち仕事がメインであり、日々身体的にも負担があるかと思いますし、何より担当によっては精神的な負担が極めて大きいことと思いますが、こと企業においてはこれまで言及してきたように、資料作成等の業務もありデスクワークが中心となってきます。

福利厚生が充実している

大企業であればあるほど、福利厚生は充実しています。正社員待遇であれば当然、保健師・看護師であっても通常の社員同様の福利厚生を得ることができます。食堂施設、財形貯蓄、大企業ならではのスケールメリットを活かした保険プラン、

企業で働くことのデメリット

やりがいを感じづらいかも

病院とは異なり、何らかの医療的な措置を行うことは普段はありません。そのため、”やりがい”という観点では人によっては物足りなさを感じるのではないかと考えます。ただ、これまで書いてきましたとおり、企業内にも心身の不調を訴える方は存在ますので、そこに対してやりがいを見出して頂けるのであれば幸いです。

企業内でも毎月、うつ病等のメンタルヘルス不調の罹病率を集計・報告していますが、その罹病率を以下にして下げるのか、新規罹患者の防止、再発の防止、スムーズな職場復帰への寄与といった点は非常に大切なこと、やりがいのあることと思います。

スキル低下につながるかも

病棟という最前線とは全くことなるフィールドとなるため、キャリアアップにはつながりづらいのではないかと考えます。ただ、それあくまで医療行為的なスキルの点ではあり、予防的な観点での指導や、人のメンタル面でのケアといった別の側面での経験・スキルを積んでもらえる。ということにはなります。

”会社員”としての働きを期待される

相対するのは従業員だけではなく、人事・総務部門の人達と仕事柄は関わることが多くあるかと思います。企業によっては、健康管理部門は人事・総務部門が管掌していて、資料や報告書等の作成には細かな指示・指導が入るかもしれません。また健康増進施策の中長期的な施策の企画・立案も求められるでしょう。

企業で働くにあたって求められること

PCスキル

デスクワークが主なものになりますと記載させていただいた通り、つまり、PCスキルが一定程度必要になってきます。特に使うであろうものは、エクセル、パワーポイント、ワード、その他企業の診療施設で使っているシステムです。
特に従業員の数が多い企業であれば、資料作成の際に様々なデータを突き合わせる場面も多くあります。そんな際はエクセルの関数(vlookup等)を用いての作業も多くあり得ます。

コミュニケーション能力

主に相対する人は
・産業医
・従業員
・従業員の健康管理を管掌する部署(例:人事・総務等)
の三方です。産業医であればこれまで接してきたまさに”お医者さん”、従業員であれば”患者さん”という位置付けですのでコミュニケーションもそれほど違和感を持つことなくとって頂けると考えます。大きく異なるのではないかと思いますのは、特に、人事・総務のような管掌部署とのコミュニケーションです。一番、”会社”的なやりとりが多くあり、ギャップを感じる点が多く出るのではないかと思います。そういった観点で企業における、会社員としてのコミュニケーション能力も必要になってきます。

企業で働くには

当然、そもそもの案件としてレアであるため求人を早々目にすることはありません。そのため、複数の転職サイトへの登録がまずは必要になると考えます。また、あくまで一例ですが、私の会社は一般的な転職サイトに求人を出すことはあまりありません。そのため、人材紹介会社経由で求人を紹介してもらうというのも有効な方法となります。

大手の転職サイトであればあるほど出会える可能性は高いためまずはいくつか登録してみることをお勧めします。
例えば以下の
看護師の転職サポート≪登録無料≫マイナビ看護師なんかもオススメです。

さいごに

私自身が昔、長時間残業を毎月のようにしていた頃、毎月のように保健師(看護師)の方や産業医の先生との面談で救われていました。会社の中で、仕事上の悩みや、本心、実際の体調等はなかなか上司には伝えられません。そんな中で保健師・看護師の方との面談で話を聞いてもらえることはそれだけで本当に救いになっていたと思います。もし、ご興味がある方は是非、企業で働く保健師・看護師も検討してみていただければと思います。