転職・退職理由|単身赴任を解消したい…なし?あり?面接の際に伝えるリスク・デメリットは?

単身赴任…とある調査によると、男性の単身赴任経験者は5割にもなるとのことです。

全国転勤のある企業に所属する会社員であれば、転勤は避けられない人事異動のひとつです。

家族の状況次第によっては、転勤に伴う単身赴任が避けられない、なんてことも往々にしてあります。

さて…ここでは、これまで5度の転居を伴う異動をしてきたいち個人として、そして、多くの人事異動をとりまとめてきたいち人事として、転職・退職理由「単身赴任を解消したい」はなし?あり?について見解を紹介いたします。

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目次

そもそも、転職・退職理由って?

何故、転職したいのか?何故、退職するのか?質問として非常に似通っていますね。違いは、転職理由は、現職を辞めて次の会社(キャリア)に進む理由、退職理由は現職を辞める理由ということで、見ている部分・範囲がやや異なると考えます。

転職理由は

「仕事を辞めて新たな仕事に転職をする」その一連についての理由の説明を求められています。将来、先を見据えた質問となります。

退職理由は

「仕事を辞める・辞めた理由」を求められています。どちらかというと会社を辞めることにした理由、現在ないし過去に遡っての理由を聞かれています。しかし…結局のところ行き着くところは、退職も転職をするために退職すると考えると、転職理由と一緒になります。

強いて言うなれば…

・転職理由は転職という事象がある時に聞かれる
例えば…「より専門性を高めたいために現職を辞めて他社へ転職をする」等です。
・退職理由は転職という事象のあるなしに関わらない
例えば…「育児・介護に専念するために退職した」等はわかりやすい例です。

という違いがありうるのが相違点と考えます。

そして、これが転職の面接において企業から見た場合、結局行き着くところは”何故、弊社?”ということと考えます。また、企業の面接と転職・退職理由は、基本、前向きであることが望ましいと考えます。

いやいや、会社を辞めたいのは不満があるからだよ、なんてご意見、あると思います。

おっしゃる通りだと思います、事実、転職・退職理由の大部分は会社への不満(残業・給与・人間関係等々)からであることも多いと考えます。

ただ、それは、会社を辞めて転職をする”きっかけ”であり、実際に転職を考える際には高次の段階へ上がる必要があります。転職・退職を考えるきっかけは後ろ向きでも良い、ただ、それを昇華させていくことが重要です。

転職・退職理由「夫・妻の転勤」を伝えることのリスク・デメリット

そもそも、単身赴任って?一般的な期間って?

転勤による単身赴任とは?

転勤とは、主に勤務地が変わることをさします。この場合、転勤はさらに以下の二つに分けられます。

・転居を必要とする転勤
・転居を必要としない転勤

この、転居を必要とする勤務地の変更があった際に、単身赴任も発生しうるということになります。

会社の人事異動によって、自宅から通勤が出来ない場所へ異動(転勤)となった際に、家族帯同ではなく、自分自身のみが家族と離れて赴任先に行くケースのことをさします。

赴任先は国内外を問いません。

単身赴任の期間ってどれくらい?

厚生労働省が公開している「企業における転勤の実態に関するヒアリング調査」(2016年)を参考にすると、単身赴任の期間は概ね以下の通りになります。

3年以内  :7割
3~5年以内:2割
5年以上  :1割

つまり…5年以上ともなると、単身赴任の解消を目的とした転職・退職も第三者から見た時にかなり納得性の高いものとなるとも言えます。

転職・退職理由「単身赴任を解消したい」を伝えることのリスク・デメリット

その① また同じ理由で退職してしまうのでは?と思われるリスク

これは、特に、全国転勤がありうる企業に対して伝えてしまうとこの様に思われることになります。

転職である場合には、最初の勤務地は確かに、応募者(”あなた”)の期待する勤務地での業務が叶うかと思います。

しかしながら、それがその企業においてずっと保証されているかというと、その企業が「全国転勤あり」の企業であればその様にはいきません。

いつかは、”あなた”も配置転換(転勤)の対象となる可能性があるためです。

これが意味するところは、不合格の確率が高まるということに他なりません。企業としては、やはり出来る限り中長期に渡って自社で働いてくれることを期待しています。

同じ様なことは起こらない、と面接官を納得させることが必要になります。

その② 自社への志望意欲が低いのでは?と思われてしまうリスク

転職の面接でも、いわゆる「志望動機」を聞かれることも多いでしょう。

企業からされる質問の順番もやや影響を与えますが、転職・退職理由が「単身赴任の解消」である場合、企業側(面接官)から「(なんだ、結局のところ、単身赴任の解消がメインで再就職先を探しているのね…別にうちでなくても良いんだろうな)」と思われてしまうことです。

このように思われてしまうと、他にその企業への志望度がより高いような候補者がいた場合、”あなた”が志望度の面で不利になる可能性があります。

これは他の側面で言えば、企業側として”あなた”に合格を出しても自社に来てもらえないだろう、とも思われてしまう可能性もはらんでいます。

リスクは「”あなた”は最終的に、条件(通勤距離、福利厚生や給与等)で会社を選ぶのだろう」と穿った見方をされてしまうことです。この様な観点で、企業として合格を出すことを躊躇うこととなります。

転職・退職の第一義が単身赴任の解消であって、自社への入社はその手段でしかないという受け止められ方をすることに注意をしなければなりません。

転職・退職理由「単身赴任を解消したい」は伝えるべきか?伝えないべきか?

伝えるべきではあるが、それはそれとして、しっかりとその企業への志望動機を持っておくべきである、というのがいち人事としての見解です。

「単身赴任の解消」がキャリア(転職)を考えるきっかけではあるが、その中でも、なぜ、その企業を選んで応募しているのかという点をしっかりと伝えるべきと考えます。

単身赴任という事象は、例外を除いて、一般的にはいつか終わりが来るものではなかろうかと考えます。

あと、1年・2年なのかわかりませんが、一定期間を過ごせば解消出来るかもしれない事象を前にして、「何故、今転職をするのか?」とも面接官からは思われる可能性もあります。

そのため、後述もしますが、「単身赴任の解消」がメインポイントではなく、その解消をしたいという気持ちを発端とした、新たなキャリアに進むための転職・退職である、その副産物として単身赴任も解消出来たら良い、というスタンスで転職活動に臨むべきと考えます。

転職・退職理由「単身赴任を解消したい」を述べる際のポイントは?回答例は?

ポイント① 理由を”単身赴任を解消したい”のみで終わらせない

転職・退職のきっかけが、単身赴任を解消したいから、ということではあるものの、その上で転職に際してどのようなことを実現していきたいと思っているかという点を合わせて考えておくことが理想です。

「単身赴任を解消したい」という思いを転職・退職理由のきっかけとして持っていることは面接官にも十分に理解をしてもらえるかと思います。

しかしながら、単身赴任という事象がなければ現職(前職)も辞める必要はなかってであろうことと受け止めます。

「単身赴任を解消したい」は、ある種”機会”でもあるわけです、その機会をより有意義なものにするためにどのような転職をしたいか?までが問われていると考えて面接には臨むのがよいと考えます。

つまり…

あなた
転職を考えるに至ったきっかけは、単身赴任を解消したい、という思いからです。しかし、実際に転職活動を行うということを考えた際には、過去から今後やってみたい・携わってみたいと思っていた~~~~(求人先の業務)への挑戦を叶えたいと思う様になりました。今となってはそちらの思いが強く、その様な中で合わせて単身赴任も解消出来たら良いなと考えています。

と…単身赴任の解消が目的にはありつつも、主は応募先への企業で働きたい、という思いを強く伝えられる様な回答にするのが良いです。

ポイント② 応募先が全国転勤ありの企業であればそれに対する答えを用意しておく

さて…応募先のポジションでは勤務地も定められていて、その求人で採用されれば単身赴任も解消出来るかもしれません。

しかし、大きな企業になればなるほど、「全国転勤」はつきものです。この場合には、やはり、「全国転勤」が大丈夫かどうかを問われることとなります。

面接官から…

企業

なるほどですね。ただ、ご存知の通り、弊社も全国・海外に展開しております。もちろん最初の数年は求人部署・勤務地での勤務となりますが、将来的には何年後かに転勤になる可能性もありますが、その点についてはどの様にお考えになりますか?

これに対して中途半端な回答は、不合格につながる可能性があります。企業として、この”踏み絵”は必ず踏んでもらわないといけないと考えているところも多いはずです。

避けた方が良い回答例

回答例①

あなた
そうですね…まだ先のことなので考えられません。その時考えさせて頂きたいなと思います。

これは、企業側は応募者(”あなた”)の採用に大きな不安を抱くことになります。

応募者(”あなた”)を採用しても、会社のそもそもの前提となる「全国転勤」を応募者(”あなた”)は受け入れられない、と捉えるしかないためです。

回答例②

あなた
配偶者も働いているので、遠くへの転勤=単身赴任になってしまうので、出来れば避けたいです。

全国転勤がある企業を前にしてこの様な回答をする方はまずいないとは考えますが、「転勤不可」という理由で不合格という判断にもなり得ます。

ベターな回答例

回答例①

あなた
単身赴任を解消したいというのは…せめて、子供が小さい未就学児の間だけでもと思っております。家をよりサポートしたいという気持ちもあります。数年後には転勤も全く問題ありません。

将来的に、大丈夫なのであればそれは言い切ってしまうのが一番良いです。

企業・面接官も応募者(”あなた”)に対して余計な心配・懸念を抱く必要がなくなります。

回答例②

あなた
はい。今は配偶者の仕事もあり、単身赴任をしておりますがもし、また次に転勤となった際には家族もつれて赴任することを配偶者とも話し合っていますので、問題ありません。

実際その時にどうなるか…は企業も面接官も応募(”あなた”)自身も確たることが言えないであろうことはわかっています。

しかしながら、今現時点では言い切れることは言い切るのも大事です。

転職・退職理由「単身赴任を解消したい」なら、一度は転職前に上司への相談は欠かせない

理由① ”あなた”が辞めてしまう可能性があるのであれば会社は一考はしてくれるハズ

本記事を読んでい頂いている以上は、もはやここまでされた上であるとは考えますが、もし、相談をしていない場合は、現職で解消できる可能性がある以上は一度は相談することをお勧めします。

あなた
単身赴任を解消してくれないのであれば、辞めます。

というスタンスではなく、

あなた
~~といった事情で単身赴任を解消したいです。会社として事情を汲んでもらえないでしょうか?

というスタンスで上司には相談することをお勧めします。

基本的に、「~~してくれなければ、辞めます。」という従業員に対して、会社はとてもドライな対応をすることが多いと考えますし、何がなんでも”我”を通そうとする姿勢は、今後のキャリア形成に悪影響を与える可能性も捨てきれません。

もし、現職での継続的な勤務(キャリア)を捨てきっていないのであれば、尚更、慎重に丁寧に申し出るのが良いと考えます。

会社にとって”あなた”が重要な存在であればあるほど、会社は”あなた”の要望を聞き入れることが出来ないか、考えるはずです。

その上で、会社(上司)から、単身赴任の解消は難しい、という正式な回答をもらっておくことが大事です。

理由② 転職における面接でもきっと確認されるため

いち人事としてある程度確信を持って言えるのは、転職における面接でも、会社・上司に単身赴任を解消したい旨の相談をしたのかどうか?という質問を受ける可能性が高いということです。

会社は、”あなた”が自社に来た後、似た様なシチュエーションに陥った際にどの様なアクションを取るのか?ということにも重ね合わせています。

つまり…もし、ここで”あなた”が「いえ、相談はしてません。」という回答をした場合…

会社側として、「(この人は、上司・会社に相談もせずに、辞めていってしまう人なんだな。)」と認識するということです。

そのため…

企業
なるほどですね。単身赴任を解消されたいことは、上司の方にも伝えたのでしょうか?
あなた

はい。伝えました。しかしながら、後任のアサインが出来ない…ということで向こう2~3年は解消出来ないという結論を頂きました。

先ほどお伝えさせていただいたように、特にこの3~4年間が家族と過ごしたいという時期でもあります。

これを機に、改めて今後自身がやりたいこと・自身の成長・家族との生活を考え、今般、御社の求人に応募させていただいた次第です。

と…やるべきことはやった上で転職活動に踏み切っているということを伝える必要があります。

転職・退職理由「単身赴任を解消したい」の場合、理想は転勤のない会社への転職

前項では、ポイントとして全国転勤の可能性がある企業への転職の際の対応についてもご紹介しましたが、やはり、理想は転勤のない又は少ないと考えられる会社へ転職することかと考えます。

業界的には、

地方銀行、鉄道(主に私鉄)・空港業界、ガス・電力等のインフラ業界、大学職員、IT業界(拠点が限定されている企業)、地方公務員、等々

があげられます。

もちろん、前述の業界に限らず、企業によって一都三県勤務しかないという企業や、関西地区勤務のみしかないという企業も数多く存在します。

「職種」という切り口での転職も考えられます。

例えば…コーポーレート部門の方であればコーポレート機能は本社にしかない、なんて場合は勤務地をかなり絞ることが出来るでしょう。(もちろん、ジョブローテーションの有無も合わせて確認が必要ですが。)

転職・退職理由「単身赴任を解消したい」の場合、転職エージェントの活用がおすすめ

「単身赴任を解消したい」という際は、やはり切ってもきれないのが”勤務地”の観点です。

もちろん、求人サイトなども活用して”勤務地”で絞って希望の条件に合う企業に応募するというのも是非、やって頂ければとおもおいますが、やはり、転職エージェントの活用はおすすめです。

それは、この様な「単身赴任を解消したい」という理由で転職活動を始める多くの人達をエージェント(アドバイザー)は見てきているためです。

そのため、転職希望者(”あなた”)に有用なアドバイスを提供してくれることになります。

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転職・退職理由「単身赴任を解消したい」…は非常に真っ当な理由

転勤(単身赴任)はそもそも、従業員に多大なる負担を強いています。

そして、それは企業もわかっています。コロナ禍を経て、多くの企業が転勤廃止に舵を切り出しています。

特に、単身赴任をしたことがある人は実体験からも共感を得られることが出来るので、「単身赴任を解消したい」という一点だけでも一定の理解は得られるのではなかろうかと考えます。

朝日新聞 2021年10月12日
「転勤廃止」進めるNTT社長、自らも10回経験 脱・昭和の裏側は
https://www.asahi.com/articles/ASPBD5RH1PBDULFA00Z.html

時事ドットコムニュース 2023年05月10日
オリコ、望まない転居伴う転勤廃止 ポストや職種も公募
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023051000405&g=eco

DIAMOND ONLINE 2021年11月4日
富士通が「転勤」撲滅!過去1年で単身赴任900人解消の本気
https://diamond.jp/articles/-/286457

LIFE INSIDER 2021年1月14日
転勤廃止の大手損保AIG「もう東京でなくてもいい」コロナが起きて決めたこと
https://www.businessinsider.jp/post-227723

一例ですが、この様に名だたる大企業が先陣を切って、転勤廃止に動いています。これが、今のトレンドです。

さいごに

以上、転職・退職理由「単身赴任を解消したい」はなし?あり?について、いち人事としての見解を紹介いたしました。

単身赴任は良い面もありますが、やはり家族との時間も大切にしたいですよね。

皆様の転職活動が明るいものになりますよう、祈念し以上といたします。

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