HR|人事部はブラック部署?ホワイト部署?

何か一概にブラックだ!ホワイトだ!と言えるものが正直あるわけではありません。人事部に限った話ではありませんが、やはり、物事には両面性があると考えます。人事部門をブラックにしてしまう原因、人事部がホワイトたる組織になりえる理由、そのそれぞれについていち人事としてご紹介をいたします。

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そもそもブラック・ホワイトとは

ブラック企業・ホワイト企業とは

ブラック企業・ホワイト企業とも言いますがそもそも、ブラック企業とはどんな企業で、ホワイト企業とはどんな企業なのでしょうか?ある程度イメージはもっていらっしゃるかもしれないので、概要をご紹介します。

ブラック企業とは

明らかな法律違反が横行している企業はブラックと言えます。例えば…

・残業代(休日労働手当・深夜労働手当等含む)が支払われない(サービス残業)
・暴言が飛び交っている(パワハラ等)
・極端に待遇が悪い(最低賃金を下回る)
・極端に労働時間が長い(法令に違反のレベル)

等々は間違いなくブラック企業と言えます。あの手この手で会社が従業員に強いることが出来るため、本質的には法律にしっかりと従っていれば良いのかと言われると必ずしもそうでありませんが、一旦ここでは法的ベースを前提とした紹介です。

実際は、法が守られた上で、人によってブラックと感じる感じないは多少ブレがあると考えます。

ホワイト企業とは

ブラック企業でなければホワイト企業か?と言われると必ずしもそうではありません。ブラック企業とは思わないけど、かといってホワイトでもないな…なんてグレーな企業も当然あるでしょう。

あっちをたてればこっちがたたず…給与は良いが残業が多い、なんてこともあるでしょう。ホワイト企業というからには、”様々な条件が高い水準で良い”ということであろうかと考えます。特徴としては…

・給与が業界・仕事において見合った以上である
・残業がない、または少ない
・福利厚生が手厚い
・有給休暇取得率が高い
・教育・研修が充実している

等々があげられます。最低限は法律ですが、法律で定められている以上に企業としての努力で従業員へより良い待遇・労働条件を与えているところはホワイト企業と言えると考えます。

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ブラック部署・ホワイト部署とは

”企業”に当てはめて述べていた、ブラック・ホワイトをそのまま部署に当てはめて呼ぶのがブラックな部署、ホワイトな部署となります。

問題はホワイト企業と思われる中にも、”ブラックな部署”が存在している、また、ブラック企業と言われていても部署によっては”ホワイト”な部署もあるかもしれない…ということです。

ホワイト企業の中における、ブラックな部署は会社としての最低限を守った上での”ブラック”であるため、前提・土台はホワイトとなります。

ホワイトとしてのある程度の給与水準、福利厚生が担保されていたりします。ただ、部署によっては長時間残業が横行していたり、パワハラ気質な上司がいたりもするでしょう。

ブラック企業の中における、ホワイトな部署としては…前提・土台がブラックであるが故に待遇がわるかったりするかもしれませんが、実は残業が少なかったり、上司は”良い人”であったりなんてことと考えます。

ここでご紹介する人事部は部署としてブラックなのか?ホワイトなのか?はその企業がブラックなのか?ホワイトなのか?にも大きく影響を受けることにはなります。

さて以降、人事部はブラックな部署と言えるのか?ホワイトな部署と言えるのか?について私見を述べていきます。

人事部はブラック部署?ホワイト部署?ブラックである理由

ブラックである理由① 自部門は”働き方改革”後回し

灯台下暗し、まさにそんな言葉がぴったりである場合がある人事部門。

他の部署にはやれ定時退勤日だ、やれ計画的に有給を取得しろ、やれなんだ…と様々な働き方改革(?)施策を打ち出すものの当のお膝元(人事部)は全くそれらの施策を守れていないなんてことはよく聞きます。

会社(従業員)の有休取得日数の向上のために色々な施策をうち、愚直に管理職をフォローし…状況を毎月報告し…なんて、そんな自分は有給を取得する暇がない…なんてことも。

良く言えば、職場の労働の改善が成されてその後にやっと人事部の改善が行われる…という順番なのかもしれません、

ブラックである理由② 人が少なく忙しい・人員補充も後回し

利益を直接的に生み出す部門ではないが故に、マンパワーの補充は基本的に常に後回しになります。そうなると必然的に必要最小限の人数で業務をこなしていく必要があります。

つまり、忙しいです。年収500万円の人を一人雇うだけで、その分利益が圧迫されますし、どうせ人を雇うならまずは営業部署や開発部署を優先する…という企業が多いのではないかと考えます。そうなると、人事はやはり忙しいままです。

ブラックである理由③ 経営陣と距離が近いが故の無茶振り

人事施策はその性質上、経営幹部とのやり取りをすることが多くなります。人事制度の多くが”お金”とも密接に関わっていますし、また、所謂全社に影響がある施策となります。そのため、その意思決定には幹部の審議を通さないといけないことが多いです。

1,000人~3,000人規模以下の企業であれば、人事部のいち担当者が社長と直接話す…なんて機会は普通にあるのではないかと考えます。

役員の会議の場で施策提案・説明を行うなんて機会もあります。そして…その場やその場以外で幹部の意見・要望をダイレクトに受けます…それに応えるために粉骨砕身することになります。

また、人事施策というのは経営幹部にとっても”身近”でかつ皆イメージがしやすいため、議論も活発になり色々な意見が出ることも多く、その意見の集約には苦労をすることが多いでしょう。

経営陣と直接やりとりが出来ることはやりがいとも言えますが、ややもすると経営幹部からの様々な意見に振り回され、満身創痍にもなりかねません。

ブラックである理由④ 個別の労務対応が多い(忙しい)

人事部門は個別の非定型業務も多く存在します。いつも存在するわけではないが一定の頻度で起こる個別の案件…通勤途上災害、業務上災害、コンプライアンス相談、ハラスメント対応、労務関連の訴訟対応、給与差押対応…等々、とにかく上げ出すとキリがないくらいに”個別”の業務が発生します。

しかも、ものによっては一朝一夕で解決は出来ず、訴訟対応などでは場合によっては年単位で付き合っていかなければなりません。案件内容によっては、従業員の懲戒を検討し、処分をするような業務もあります。

ブラックである理由⑤ 気が進まない業務がある

気が進まない仕事はどんな職場でも確かにあるでしょう…ただ、こと人事部門において気が進まない仕事は…”退職勧奨”です。最も人事部門において避けたい業務のひとつと言えます。

この仕事はマインドを経営視点に完全に切り替えて、会社にとって有用な人に出来るだけ残ってもらい、会社でこれ以上の活躍が望めない人に対しては社外への道を薦める…なんとも辛い仕事になります。

個別の面談の際に涙ながらに、「自分はこの会社が好きで、仕事も与えられたものを一生懸命頑張ってきた、何故…」と言われると心が締め付けられます。「せめてあと半年は働きたい…子供の結婚式がある…それまではここにいたい。父親として無職で式に出ることになるかもしれないのは避けたい。」「ちょうど子供が大学に進学するタイミングなのに…業績が悪いのは会社のせいであって、自分のせいではない。なぜ自分が社外をすすめられないといけない」と…従業員の私生活にも影響があります。

人事部はブラック部署?ホワイト部署?ホワイトである理由

ホワイトである理由① ”働き方改革”の率先垂範・リードすべき部署

人事部所の責任者次第によっては、「人事部門こそ率先垂範」を掲げて強力に働き方改革を人事部門にも広げてくれます。

もちろん、メンバ全員の意識も大切にはなってきますが、部門のリーダーである部長なり本部長が率先して旗を振ってこそと考えます。

結局、人事部門が展開する働き方改革の各種施策を人事部が体現せずして、他の部署がついてきてくれるわけがありません。

最近のリモートワークも、人事が「働き方改革の一環で今後も在宅勤務しましょう!」と、会社のオフィスに座って発信していたら、誰も聞いてくれませんよね?これと同じように有給休暇も取得しましょう!というからには、人事部も率先して取得しているんだという姿を見せることも大切です。

現実・実態はさておき、会社が掲げるありたい職場を率先して体現していくのが人事部であると考えるととてもホワイトな職場なのではないかと考えます。

ホワイトである理由② 企画・立案系の業務は裁量度が高い

人事の仕事には確かに、給与計算や賞与計算、年末調整等々時期的な業務・ルーティンで行う業務も多くあります。

しかし、昨今では、給与計算や年末調整なども外部に委託をしたりして、人事部は本来のあるべき姿である、人事施策の企画・立案にもっと力を割くようにしているところもあります。

そうなってくると業務に裁量が効くようになってきます。ルーティンで毎月○日に何かをしないといけない…という要素がなくなります。つまり、裁量度が高い=休みも取りやすい・都合をつけやすいということにもなってきます。

ホワイトである理由③ 日常業務におけるストレスがそれほど高くない

ブラックである理由で紹介したような、”退職勧奨”…これは極めてストレスが高い仕事ではありますが、そのような業務があるのは実は珍しく、普段はそのような仕事はないでしょう。

そうなると、最前線で売上ノルマ必達に向けて頑張っている営業や、顧客先へ収める製品・サービス開発でギチギチな日程の中、品質も担保しなければならない…なんて設計開発者ほど、人事はストレスは感じていないのではないかと考えます。

体感として…所謂、精神不調に至る割合は人事よりも、営業などの部署の人の方が多いのではないかと思います。

ホワイトである理由④ 女性も多く、育児関連休暇に寛容なところも…

人事部門は比較的女性が多い部署と言える一つでもあります。

所謂、一般的な事務職の方々から、総合職と言われる方々、場合によっては契約社員、パート・アルバイトなど、多様な雇用形態の方がいらっしゃると思いますが、人事部は男女比が大体半々ないし、女性が過半数以上を占めるところも多いのではないかと考えます。

もし、そうであった場合、必然的に産休・育休に入る方も多くなり、育児関連休暇に理解がある組織になっている可能性があります。

育児に関連する休みにはやはり組織としてその取得に前向き・寛容である必要があります。この土壌が自然と整っている場合は、ホワイトと言えると考えます。

ホワイトである理由⑤ コンプライアンス遵守・ハラスメント防止意識が高い

これはそれぞれの企業における組織の業務分担によるところもありますが、人事部がコンプライアンス遵守の推進やハラスメント防止の推進を担っているところであるとこのようなことが言えると考えます。

自身の部署でコンプライアンス遵守・ハラスメント防止を推進するため、企業の中で最もそれらに対する意識が高いと言えます。

人事部はブラック?ホワイト?は管理職・幹部次第か

人事部だからブラックだ…人事部はホワイトだ…なんてことはやはり言い切れません。(いち人事としては人事部はブラックよりだとは感じますが。)まずひとつ言えるのは、人事部という組織をどんなものにするのかに大きな影響を持っているのはその組織の責任者と言えると考えます。

例えば…働き方改革の一環で、深夜労働の回数を0回にしよう運動を人事主導で始め、毎月の幹部会議で部署別の深夜労働回数をモニタリングすることとなった。とある月が閉まって集計をしたところ、なんと人事部門の深夜労働が発覚した。さて…この後に人事部署のトップがどのような行動を取るか…です。

深夜労働があったという事実を受け止め、どのような事情で起こり、今後どうしたら無くすことが出来るのかを考えるのが正しいありかたと考えます。

しかし、トップによっては、”隠す”という行動をとる責任者もいるでしょう、”隠す”行動が即座に”悪”ではないかもしれませんが、隠せてしまうのはある種、その数字を集計している人事部門だからこそでもあります。トップによってはその深夜労働をした従業員を糾弾するようなこともあるかもしれません。

人事部トップとして隠したい理由は多くあるでしょう。運動を推進している責任部署でそんなことがあったなんて言えない、運動を推進している責任部署が守っていなかったら他の部署もそれを理由に守ってくれなくなるのではないか…と。

後者のような考え方をベースに人事部の責任者が行動するような場合、その組織はブラック(不健全な組織)になっていくでしょう。

※転職などでブラックな人事部に行きたくない人は、人事部のトップを見ると良いかもしれません。あまり上すぎると意味がないので、人事責任者(社長・役員)ではなく、人事部の責任者(本部長・部長)がちょうど良いのではないかと考えます。

※前述した通り、そもそも企業としての体質がホワイトなのかブラックなのかも大きな影響を与えます。ここではあくまでブラックではない前提でのお話です。

さいごに

さて…人事部はブラックな部署なのか?ホワイトな部署なのか?についていち人事としてそうであると言える理由について考察をいたしましたが、いかがでしたでしょうか。

なんだ、結局”答え”はないのか…と思われた方もいるかもしれませんが、残念ながら一概に言える答えはありません。会社・部署によるとしか申し上げられません。

ただ、人事部は”ホワイト”をめざしていく組織であると考えますので、そうなりうるポテンシャルは多くもっているはずです。

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