HR|人事部には人事権・評価権はあるのか?

人事部門に所属していない人は気になる人も多いのではないでしょうか?

人事異動は人事が決めているのか…自分の評価は人事部に決められているのか?…その答えはもちろん、“会社による”のですが…。

人事部に人事権(人事異動・採用・昇進等の権限)・評価権(昇給・賞与等の人事考課の権限)はあるのか・ないのか?についていち人事として共有したいと思います。就活生で気になる方も是非ご一読してみてください。

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人事権とは・人事部に人事権はあるのか?

人事権とは

人事権とは主に会社が従業員の採用、業務内容の変更、配置転換(勤務地変更・出向含む)、昇進などの決定権限を指します。

人事部に人事権はあるのか

残念ながら基本的には、人事に人事権はないと考えます。あくまで、“合議”の権利を有していると考える方が実態に近いと考えます。
※“合議”とは、関係する組織(部門・部署等)の了解を得ることです。

では、以下項目の通りご紹介していきたいと思います。

人事部に人事権(人事異動の権限)はあるのか?

基本的には組織管理上、すべての人事異動はその手続きにおいて人事部の知るところになる又は経由することになります。

この際、人事部が“合議”をするということになります。業務上必要な異動は、多くが、基本は現場が起点になると考えます。

ただ、もちろん企業によっては、人事権が人事部に集約され人事異動を取り仕切る様な仕組みになっているところもあります。

 

人事異動の想定やりとり① 職場起点の人事異動

〇〇部△△課 課長:今度、九州で新しいプロジェクトがある。ついてはうちの部署のA君を九州支社に転勤させたい。

【人事の想定返答パターン①】
はい。わかりました。ちなみに、Aさんは転居を伴う異動について何か制限はあったりしますか?本人的にも問題がなさそうであれば、手続き進めますので、必要書類を人事に出してください。

【人事の想定返答パターン②】
いやいや。A君はつい半年前に関西から東京に転勤してきてもらったばかりじゃないですか。流石にその人事異動はおいそれと認めるわけにはいかないのですが、会社として本人が納得出来る理由は何かあるのでしょうか?A君でなければならない理由はなんでしょうか?A君が是非というなら止めませんが…最悪その異動は人事として認められません、他の候補者を探してみてもらえませんか。

※もちろんもっと様々な返答パターンはありますが、人事の観点はその異動を発令して問題ないかの確認をすることが目的です。

と、人事には人事権、それが形式上かどうかはさておき、人事異動案件をしっかりと精査する役割がある、そしてときには人事異動の提案を差し戻すことが出来るということです。

ただ、確かに実情は差し戻さなければならないほどの人事異動の提案というのはなかなか起きないため、事実上、人事に人事権があるという解釈にならず職場(現場)が人事権を握っているということにはなります。

人事異動の想定やりとり② 社長命令等勅命での人事部まとめの人事異動

社長:コロナの影響で来年度の予算は非常に厳しい。経理・財務とも相談をしたが固定費を〜億円は削減する必要がある。ついては、人事としては人件費の観点で最低5人は社外に出向に出して欲しい。

人事部:はい。わかりました…5人ですね。では、製造系のA部門から2名、B部門から3名、出すように調整します。

〜〜〜〜〜

人事部:A部門長、既に社長から聞いているかもしれませんが、経営判断で外に出向に2名出します。ついてはここにA部門のリストがあるので出向に出す人を相談させてください。○○さんはどうでしょうか?・・・

という具合ですね。もちろん、人事の一存だけで進むわけではないですが、人事が主導して人事異動を推進していくというケースです。定期異動も人事が中心となって従業員進めるケースもあります。

人事部に人事権(採用権限)はあるのか?

「人事に採用権はない」と紹介をしている記事もありますが、採用権がある企業ももちろんあります。企業ごとに事情は当然異なるため、一律にこの場合はこうである、ということは言えませんが…。

新卒採用の場合

例えば、大手の企業になると、何万名もの新卒学生の応募を受ける企業も珍しくありません。この様な企業になると、最終面接に役員が出てくることはそうそうないと考えます。

事業ラインの部長か本部長と考えます。そして、人事側も同席するスタイルで運営していると考えます。

合否は、人事と事業ラインですり合わせたうえで出すことになります。事業ラインがOKと言ったらOKになるわけではありません。双方が合格と言って合格になります。

そして、合格となったから即座にそれが伝わるわけではありません。人事部門が全体の合否出しのコントロールをしています。

当然、優秀な人材から合格をだし、ボーダーラインにいる人財は合否連絡をぎりぎりまで引き延ばし、最終的な採用の充足状況を踏まえて、合格にしたり不合格にしたりします。

つまり、採否は採用管掌している人事部門の責任者であるということです。特にポテンシャル採用で行う新卒採用については、人事部がその権限を握っていることがある、というお話です。

毎年、数十人の新卒との面接に留まる事業ラインの部長・本部長よりも、毎年数百人と何年も面接をしてきた採用管掌の人事責任者・担当者の方が、学生と企業のマッチ度合いを見極める能力がある、ということです。

経験者採用の場合

一方で、経験者(中途)採用となるとややその事情は変わってきます。

経験者採用は、現場が即戦力として求めています。その即戦力度合いを見極められるのは現場の責任者がやはり適任です。

人事は“人物の評価”は比較的得意としますが、現場からは離れている分、現場で求められているスキル・能力、即戦力度合いを測ることは不得手となります。

こうなると、余程人物的に問題がある人財でない限り、現場が合格!自職場に欲しい!となれば、その意見を尊重することになります。

そのため、規定上の採用権は人事部が持っていたとしても、その実態は現場責任者が握っている、ということになります。現場が不合格という人財に、人事が合格を出すわけにはいきません。

大手企業を前提に話をしてきましたが、中小規模の企業となってくると、最終面接に役員級が出てくることも十分にあります。こうなると、パワーバランス的にも人事部が本当の意味で採用権(決裁権)を持つことは難しくなりますし、人事はあくまでサポート部門であり、権限は新人が配属される受入部署の部門長にある。という傾向になると考えます。

※人事部のみで採用・選考を最後まで行う企業もあるのではないか、事業ラインのみで採用・選考を最後まで行い人事は完全に事務方の企業もあるのではないか、ということも、当然可能性としてお含みおき下さい。

人事部に人事権(昇進権限)はあるのか?

人事部にはやはり、従業員を昇進させる権限はありません。

しかし、こちらも企業の事業運営における、管理職への登用要件の企画・立案などは人事部の業務としてありえますし、その適切な管理・運用も人事部もミッションとして位置付けられている企業もあるでしょう。

そして、事業ラインはそのルールに則って管理職への登用の提案を上げてくる、そして問題ないことを確認した人事が合議し、しかるべき決裁者が決裁をする。ということと考えます。

この決裁者が人事部というケースもあるかもしれませんが、人事部が誰それさんを管理職にしようと従業員名簿を眺めながら決めている…という企業は珍しいのではないかと思います。

さて、この管理職への昇進試験や昇進条件を企画・立案・運用をするという点で、人事部が管掌をする以上、そこには人事部の意図というものも反映されているということにはなります。

繰り返し言及するコメントになりますが、人事の一存だけできまっているわけではないですが、例えば、資格要件で管理職登用者はTOEICが最低700は必要等を定めているということです。

資格要件ではなく、何らかの適性検査やヒューマンアセスメント研修など様々な方法で管理職に登用するに値するかを判断する仕組みをつくっているのが人事部です。

企業において必要なスキル・能力・人となりを備えた人を管理職に上げるための管理職への任用要件を定めることが人事の役目としてあります。

ただ、大体の場合は”あなた”を管理職に推薦・提案してくれるのば職場の上司なり上司の上司であろうということにはなります。

そう言った意味では、人事部の決裁権うんぬんよりも、まずは推薦してくれるであろう後ろ盾の職場上司にしっかりと認めてもらうことが大切なこととなります。

しかし…全てを現場任せにはせずに、人事として優秀な人材の積極的な管理職への登用も一方でミッションではあります。そのため、サクセッションプランというと大層すぎるかもしれませんが、優秀な人材の把握そして、その人材を管理職へ登用するための働きかけということをしていることもあります。

非常に表面的・かつ単純な例ですが、一例を…

常に社内でボーナスの評価が最高評価の従業員がいる

何故管理職に推薦が上がってこないのだろう?優秀なら上に上げてもっと難易度の高い業務をさせる、部下を育成させる等させたらどうなのだろうか?

(職場に確認①)なるほど、個人での能力は極めて高いが、チームマネジメント能力が低くて部下はつけられないのか…。マネジメント強化のための研修への派遣を提案してみようか…
(職場に確認②)そうか、本人が管理職になることを望んでいないのか。

という動きをすることもあります。実際はもっと様々な観点から総合的にみてアプローチをしています。

昇進は従業員のモチベーションにも関わりますので、昇進が遅い人について、何故昇進の提案をできないのかということを職場に確認し、本来であれば昇進に値するのに、釈然としない理由で昇進させていないようであれば、その上司の”好き嫌い””マネジメント不足”等を疑い、さらにその上司への確認、部門長への調査、昇進に不適とする明確な回答を求めることもしています。(もちろん、そこまではしていない人事部も当然あるという前提ですが。)

人事部に評価権はあるのか?

こちらも、当然企業によると考えます。それは当然ですね。一概にこうであるとは言えません。企業ごとにその企業内で人事部にどのような役割・権限を与えて、どこまでそれを真に実践しているかはその企業でしかわかりません。

ただ、いち人事(私)としては

個人別の評価権は無いが全体のガバナンスの観点での統制権限はある。

というのが答えとなります。

評価はその従業員に仕事を直接指示・指導している上司がまず行うべきであるというのが一般的な考え方でもあると思います。そしてその、上位に位置する上司がその評価についての確からしさをレビューするということになります。

これは、評価プロセスを会社としてどの様に推進するかによって人事部門の関わり方が異なってくると考えます。評価が完全に部門・部署にゆだねられている場合は、人事が介入するところは極めて少なく、最終的な昇給・賞与の処理が適切に回ればよいということかと考えます。

しかし、会社全体としてガバナンスを効かせる必要がある場合、その観点では人事が介入する余地があり、所謂、権限を行使するシーンがあり得ると考えます。

得てして、評価というのは全体を見ると上振れし易いと、これまでのいち人事の経験としては感じます。

そして、一度上げた評価を下げるというのもなかなかやり辛いという実態もあり、“自由”にしておくと、適切に評価プロセスがまわらない機能不全に陥る可能性があります。

昇給評価の上振れ、賞与評価の上振れは経営にコストインパクトを与えます。そこで、人事が会社全体として統制をとる、という役割・権限を行使するのです。

例えば、A部門、B部門、C部門があり、A部門はなぜか高評価が多い、一方でC部門は低評価者が多い、場合…。
・A部門長は評価が甘くて、C部門長は評価が厳しい
・A部門は今期は成績がよかった、C部門は今期は成績が悪かった
等々考えられる可能性は様々ですが、会社全体として個々人ではなく、その評価傾向が正しいのかを統制・調整することが求められています。

その統制・調整の中で、場合によっては特定個人の評価を人事として上げ下げを提案(場合によっては指示)することもありえますし、前述のケースでは、特定個人に絞らずともA部門に「A部門は全体的に評価が上ずれしています。評価の比率を調整してください、最高評価者を○人以内にしてください。」というガイドをすることもあります。

評価プロセスが正常に回るよう、経営に影響を与えないよう様々な観点で人事部が従業員の評価を見ています。

つまり、人事部は”人”にまつわる業務を司る部署

・人事部に人事権・評価権等はあるのか
・経理・財務部に投資権限、間接費の支出権限等はあるのか
・法務部に契約締結権限等はあるのか
・調達部に調達権限等はあるのか

色々なコーポレート部門があり、その部門が管掌するエリアも様々ですが、その部署がどこまでの権限を有しているか、そして、その権限がどのレベルまで落とし込まれているかは企業によって様々かと考えます。

ただ、いずれの部署も単独で物事を進めるわけではありません、関係する部署と連携し、関係する部署の合議もとりつつ、案件の大きさによっては最終的には役員なり社長の決裁をもって実行に移すということも往々にしてあるでしょう。

「最初から最後まで全ての権限を有している」というのは組織運営上難しいことなのであろうと考えます。ただ、全体を司るのがそれぞれの部署ということになります。

・人事部は”人”にまつわる業務の全体を統括する
・経理・財務部は”お金”にまつわる業務の全体を統括する
・法務部は”契約”にまつわる業務の全体を統括する
・調達部は”サプライチェーン”にまつわる業務の全体を統括する

ということと考えます。

その中で、個別の案件については実際にビジネスをおこなっている職場・現場起点(提案)で進むことも多い、または職場・現場の了承なしには進められないということもあるので、職場・現場にも実ビジネスを推進する責任部署としての権限があるということになります。

さいごに

さて、人事部に人事権・評価権はあるのか?についていち人事としてご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。

多くのケースでは人事部に最終的な決裁権はないことが多いのではないかと思います。しかし、人事部としては最終的な決裁の前の段階で、その案件を進めて良いのか、進めるべきでないのかの確認をしています。

その上で、積極的に後押しして最終決裁者にも推進を進め提案したり、逆に、最終決裁者に至る前に差し戻すことがあったり、人事観点で懸念点を上げ最終決裁者に判断を仰ぐということをしています。

そう言った意味では、企業の”人事”は誰かの一存のみで決まるのではなく、いくつかの必要な関係者がみんな「わかった」と言った上で進むようにプロセスが整備されているということになります。

結論としては、人事部も”一部”人事権・評価権を持つ。というのが正しいでしょうか。

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