たまに私自身見かけます。書類選考をしていると、子会社(グループ会社)在籍の人からの応募に出くわすことがあります。
いち人事として”グループ会社在籍だから”という事情だけで書類選考を不合格にすることはないですが、やはり色々思うところはあります。
こちらでは、転職活動の際に、”現職”のグループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)へ応募することに関していち人事の観点で述べさせて頂きたいと思います。
就職(転職)活動において、ただなんとなく大企業(親会社、本体)なら給料もある程度よさそうだし、福利厚生もよさそうだし、教育・研修もしっかりしてそうだし…等々のイメージで親会社を中心に活動をされている方は多いのではないでしょうか?ただ、「“親[…]
子会社が実はおすすめな理由という記事も書きましたが、おすすめできない点も当然あります。残念ですが、厳しいリアルな視点で見ていくと子会社のネガティブに見える点も多くあります。ここでは、後ろ向きな視点で子会社に就職することのデメリットを述べてい[…]
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- 1 【前提】親会社・子会社・兄弟会社等とは
- 2 グループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)への応募はありなのか?
- 3 グループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)への応募は現職にバレるのか?
- 4 グループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)への応募の前には社内公募等の仕組み(制度)の確認を
- 5 グループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)へ転職したい場合は上司に相談をしてみるのも手
- 6 グループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)へ転職するメリット
- 7 グループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)へ転職するデメリット
- 8 親会社の人事の立場としてグループ会社の従業員から応募があった時に思うこと
- 9 転職は転職サイト・エージェントを使いましょう
- 10 さいごに
【前提】親会社・子会社・兄弟会社等とは
対象となる企業から見て、その企業の株式の過半数(50%)以上を有するなど、対象企業の経営をガバナンスしている会社を”親会社”と呼びます。
親会社が株式の過半数(50%)以上を有し、親会社にその経営を握られている会社が親会社からみて子会社となります
同じ親会社を持つ子会社同士のことを兄弟会社と呼びます。孫会社:
親会社から見たときに、子会社の子会社を孫会社と呼びます。
グループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)への応募はありなのか?
ありです。
しかしながら、企業によって様々な考え方があり、そのそれぞれの考え方によって応募した後にどのように取り扱われるのか、どのように選考が進むのか等々はケースバイケースになるかと考えます。
いち人事の蛇足
例えば、某有名なT社では子会社から親会社への転職はほぼ無理…なんて話を聞きます。一方で、某H社は子会社から親会社の転職が普通に容認されている。なんて話も聞きます。
グループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)への応募は現職にバレるのか?
バレません!と胸を張って言いたいところですが、企業によってはバレる可能性もあります。
応募先企業にも個人情報の取り扱いが定められており、応募者の情報(”誰”が応募してきたか)については社外へはもちろん親会社・子会社・兄弟会社含めた自社内の関係者以外に開示することは基本的には許されていない場合がほとんどかと思います。
正攻法として、個人情報の取り扱いにグループ会社間等でも情報を共有しますなりそれに準ずる様な決め事を定めている会社があります。
ただ、これはグループ会社間の応募を把握するためというよりも、良い人材をグループ会社間での採用可能性を探りたいという意図となります。
さて…親会社・子会社・兄弟会社間での人事面での交流が常日頃行われている場合だと、人事同志の繋がりがあることは間違いありません。
そうなると、残念な実態として、応募先の親会社・子会社・兄弟会社人事から現職の人事に”問い合わせ”が入る可能性は十分にあり得ます。
そもそももしかしたら、グループ採用として経験者採用業務やその情報が親会社の採用チームで一元管理されているなんてケースもあるかもしれません。そうなると言わずもがなとなります。
グループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)への応募の前には社内公募等の仕組み(制度)の確認を
企業によっては、グループとして全体での人材活用的な観点でグループ間の社内異動が実現できる制度を設けているところもあります。
そのため、安易にグループ会社の求人への応募をする前に、まずは自社内の制度で、グループ会社間の異動を実現させられる仕組みはないかをしっかりと確認しましょう。
ただ、社内公募だからといって選考に通りやすくなるものではないと考えますので、その点は甘く見ない方が良いでしょう。
いち人事の個人的な感覚では、むしろ社内公募での応募の方がハードルが高いのではないかとすら考えます。
同じグループ会社だからこそならではの社外からの応募者とは異なる、グループとしての事業状況等踏まえた一段も二段も視座の高い質問、一段も二段も深い技術的な質問等々が交わされるシーンにも出くわします。
グループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)へ転職したい場合は上司に相談をしてみるのも手
さすがに現職の親会社へ…というのはなかなかハードルがひとつ高いかもしれませんが、現職の子会社、兄弟会社へ転職をしたい、といった場合は所謂、「出向」「転籍」といった手段もないわけではありません。
・勤務地を変えたいため勤務地の合うグループ会社へ転職がしたい。
・携わる事業体を変えたいため事業の合うグループ会社へ転職がしたい。
・より給与が良いグループ会社(親会社)へ転職がしたい。 等々
色々事情があって転職をしたいと考えていらっしゃるのだと思いますが、いち人事の私なりの理解・考えとしては、勤務地にせよ、事業体にせよ、給与にせよ、転職を通して達成出来るのであればわざわざグループ会社を選ぶ必要はないとも考えますので、その様な中「転職先に親会社・子会社・兄弟会社を選ぶ」ということは、少なくとも応募者(”あなた”)はその企業・グループ会社全体のことを悪く思っていない(良く思ってくれている)のだなと考えます。
さて、そうなると、グループ会社全体の観点で、もし、”あなた”が勤務地を理由に辞めて、完全に他社に行ってしまうことは損失になります。
そのため、上司に希望するグループ会社への異動(出向・転籍)を掛け合ってみる、と言うのはありです(ただ生半可な相談では叶わない、話を聞いてもらえる可能性は低いと考えます。)
多くはないですが、勤務地を理由にグループ会社間での人の異動をすることもあります。
いち人事の体験談
うちに関西の拠点があれば良かったけどそれもないからもう退職も止むを得ないのだが、非常に優秀だし、辞められるのは会社全体としてももったいないと思う。
関西拠点のグループ会社で採用してもらえないか当たってみてもらえないか?まずは出向でも良いと思う。
ただ、面談等も必要に応じて実施しなければならないかもしれませんし、○○さんのご希望にそったポジションの提案までは出来ないかもしれませんが、まぁ、その辺りは適宜連携とりながら進めさせてください。
なんてことがありました。その時は最終的には、○○さんは退職して他社へ入社することを決められましたが、”転職”ではなく、”異動”といったスタイルでグループ会社への入社が叶えられる可能性もゼロではありません。
人事経由ではなく、それなりに人脈を持っている偉い人であればその人自らが先方のグループ会社と調整してくるなんてこともあったりします。
グループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)へ転職するメリット
1:社風・文化が似ていて馴染みやすい
グループ会社の経営は、当然親会社が全体のガバナンスをきかせており、その行動規範や、グループ・ビジョン、ミッション、企業理念は共通のものがあると考えます。
そのため、グループ会社への転職は社風・文化的な観点での馴染みやすさはあるものと考えます。(※デメリットの方にそうではないケースも記載します。)
2:仕事によっては前職での人脈を存分に活かせる
円満な転職につながれば、この前職での人脈というのは非常に強みになります。特にコーポレート部門となりますと親会社-子会社間での頻繁なやりとりはもちろん、他のグループ会社の取り組みを人脈を駆使して情報交換できることは強みとなります。
もちろん、事業的な観点での営業職の方も技術職の方も、前のグループ会社と転職先のグループ会社を繋ぐことが出来うると言うのはそれだけで強みです。
企業としては、このグループ会社間の事業的・技術的なコラボレーション・コネクションを強くする目的のために相互の人材交流を人事施策として行なっているところも少なくありません。
3:似通った就業規則・ITツール使用のため業務にキャッチアップしやすい
完全に他社への転職ですと、仕事以外にも覚えなければ、知らなければならないことがたくさんあります。それはこちらの就業規則的な話であったり、全くこれまで使ったことのないツール(TeamsからSlackだったり、勤怠管理ツール・旅費精算ツールだったり等々)の使用等、新しいことだらけになります。
しかしながら、同一のグループ会社間となると、この辺りが就業規則も似通っていたり、使っているツールもグループ全体で一緒だったりとするケースがほとんどかと考えます。そうなると転職後も立ち上がり早く、業務に邁進出来ることとなります。
グループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)へ転職するデメリット
1:社風・文化が似ていると思ったら全く似ていなかった。
メリットの方ではこれらが似通っているが故に馴染みやすいのではと紹介致しましたが、そうではない可能性というのももちろんあります。
グループ会社のできた経緯にもよりますが、親会社から分社化して出来たグループ会社は似ている度合いが高くなると考えますが、買収されてグループ会社となった組織や、他社との合弁会社となると、大分雰囲気が変わってくるものと考えます。
①親会社から分社化して出来た100%子会社
②自社の出資割合の高い合弁会社
③買収した会社
の順で似通っている度合いは変わるものと考えます。
(もちろん、長い年月をかける中で変化はしていきますので一概には言えませんが。)
2:元の職場の方が良かったと思ってしまう可能性。
グループ会社への転職だから思うわけではなく、他社への転職であってもこの様に感じる可能性はあるため、グループ会社への転職固有のものではないと考えますが、もし、”隣の芝生が青く見えて”の転職だった場合には、その理想と現実のギャップを感じる可能性が高まります。
しっかりと事前リサーチをした上での応募をすることをお勧めします。
3:親会社から子会社等の場合は処遇悪化も
起こり得る可能性のひとつとしてイメージしやすいひとつかもしれませんが、やはり、子会社となると親会社と比べて処遇が低い可能性は否めません。
むしろ通常はそうと考えます。内定後の条件オファー時はもしかしたら同等だっとしても、その後の昇給の伸びが親会社と比べて低くかったり、退職金も積立額が少なかったりと、するかもしれません。
このあたりはあらかじめ割り切っておく必要があると考えます。
親会社の人事の立場としてグループ会社の従業員から応募があった時に思うこと
子会社から人を引き抜く訳にはいかない…
子会社は非常に人材の採用に苦労しているケースが多いです。また、親会社程資金も潤沢にはなく人を一人採用する大変さは親会社の何倍にもなります。
そんな子会社の従業員から応募があった場合、「子会社から人を引き抜く訳にはいかない」といった考えが頭をよぎります。
そして次に、しかしながら、その人は転職活動をしていることも事実。もし、親会社として合格を出さなくても、遅かれ早かれそうなると完全に関係のない他社へ転職してしまうかもしれない。そうなるとグループ全体としての損失にはなる…と考え直します。
最終的には、「是々非々で判断」という結論になります。
ただ、このように、”親会社が子会社の人材を引き抜く訳にはいかない”とこの様な考え方で裏で不合格となっている可能性も十分あるでしょう。
前職、前々職等であれば許容範囲として捉えられる
流石に、現職がグループ会社となると、前述の通り色々と人事として思うところも出てきます。しかしこれが、間に1社挟まれていると途端にそのモヤモヤは無くなります。
1社目(前職) :○○グループ会社
2社目(現職) :全く別の同業他社
3社目(転職先):○○グループ会社 親会社への転職
こうなると、グループ会社から人を引き抜くといったことにはならないためそのしがらみは全くありません。しかし、当然、面接においては、
・1社目、2社目の転職理由
・何故、再度○○グループへ転職・入社をしようと思ったのか
を必ず人事としては確認することになるかと思います。
転職は転職サイト・エージェントを使いましょう
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子会社が実はおすすめな理由という記事も書きましたが、おすすめできない点も当然あります。残念ですが、厳しいリアルな視点で見ていくと子会社のネガティブに見える点も多くあります。ここでは、後ろ向きな視点で子会社に就職することのデメリットを述べてい[…]