海外駐在・出向|年収倍増!?現地での給与はどうなる?待遇は?

海外駐在・出向の話になると、現地の生活環境や業務内容はもちろんのこと、「給与」についてもとても気になるのではないでしょうか?こちらでは、海外駐在・出向者の給与について、いち人事としてこれまで見聞きしてきたこと及び自身の経験・見解をご紹介したいと思います。

ただ、身も蓋もありませんが、当然の如く自社の海外給与が知りたいという場合は、自社の規則を確認するのが一番の解決方法になります。最終的には企業によるため、以下は一般論、そういうケースがあるということで読み進めて頂けたらと思います。

【結論】海外駐在・出向者の年収は?

所謂、月給に各種手当・福利厚生を鑑みて結論を出すと、

額面1.3倍~1.6倍
手取り1.5倍~1.8倍

程度になるのではないかと考えます。額面上は思ったほど増えないな、と思う方もいるかもしれませんが、残念ながら人によっては”増える要素”が少ない場合や、若ければ若いほど各種手当の算出ベースが低いため思ったほど増えないと感じてしまうかもしれません。が、それでも日本と比べると明らかに手取り収入は増加することとなります。

(参考)海外給与の仕組みは大きくわけて3つ!

さて、少し脇道にそれますが、軸となる海外駐在時の「給与(月給)」を企業が決めるやり方は大きく3つに分けられます。もちろん、これは企業によって異なる手法を用いています。それは、購買力補償形式、別立て方式、併用方式の3つとなります。さて、”あなた”の企業はどのタイプを採用しているでしょうか?

購買力補償形式

これは海外においても日本で生活していた際と同水準以上の購買力を補償する方式です。行き先の生計費指数を用いて国内の給与をベースに算出します。

別立て方式

日本で勤務していた際の給与と関係なく、行き先の国、ポジション等々によって決定する方式です。海外の現地企業の給与体系を用いて支払うこともあると考えます。

併用方式

日本国内でこれまで支給してきた給与をベースとして、それを海外で支払うという考え方です。また、その際には為替レートを勘案したり、生計費指数を用いたりします。

前述したように、若手(基本給)が安いうちに海外に行ってもあまり大きく給与あがった!という気持ちにはならないかもしれないのは、一般的に多くの企業で採用されている形式(購買力補償形式や併用方式)が日本での給与が大きく影響しているためです。(実際、いち個人として若手の頃に海外に行きましたがその際は基本給が低かったためかあまり実感はわきませんでした。)

海外駐在・出向者の年収は?なぜ増える?

考えられる理由は主に以下の3点となります。

理由① 月給(本給)自体の増加

前述で海外給与の算定方法について簡単にご紹介をしましたが、いずれの方式を取っても、所謂「月給」は増加することになるだろうと考えられます。それは、生計費の観点からも、また海外勤務をするこということでの賃金増加があること、等々からです。

理由② 手厚い手当・福利厚生

詳細は後述しますが、海外赴任するからこそもらえる、手当がたくさん存在しています。こちらが大きく額面・手取りの増加につながっています。海外駐在だからこそ…という意味では、ハードシップ手当、海外駐在手当等ですが、それ以外でも日本と異なる好待遇になるという意味での手当では住宅手当、通勤手当等があげられます。この各種手当・福利厚生を合算していくと最終的に相応の額になります。

理由③ 税金の取り扱い

こちらでは詳細は省きますが、良く聞く話かもしれませんが、海外に行くと非居住者となりますので、多くのケースで各種税金を納める必要がなくなります。給与明細を見てみると、大きく控除されている所得税・住民税等、これらを納める必要がなくなります。併せて、海外での現地でかかる税金(所得税・年金等)を企業が負担してくれる制度になっているところも多いです。そのため、手取り額が大きく増えることとなります。

理由④ 為替の影響

数値的な額面・手取りに大きく影響しているひとつは為替もあります。海外では物価も高いんでしょう?という話もありますが、物価が高くとも為替や生計費が海外給与に勘案されているため、生活費が増えても総収入もそれ相応に増えているため、その分残るお金も増えるということになります。単純に海外での給与が日本の時の給与が倍、生活費が倍と考えると、余るお金(貯金できる額)も倍になるということですね。特に円安の最中では顕著にコレを感じることになります。

海外駐在・出向者の年収は?とにかく手厚い手当・福利厚生!

海外勤務手当

海外で勤務をするということにおける諸般の苦労に報いるために手当を支払うことがあります。これは日本から離れて勤務をすることへのご苦労賃的な意味合いが強いと考えます。定額で支払う企業もあれば、月給に応じて係数をかけ支払う企業もあれば、もしくは職位や等級で設定している企業等々その手当額の考え方は様々です。ただ、数万円~十数万円/月という感覚になるのではなかろうかと考えます。

住宅手当(寮・社宅)

こちらは現地の住宅費用を企業がサポートする手当になります。色々なケースがありますが、

・一定額の予算内で全額を企業が負担するケース
・あらかじめ企業が契約している物件(社宅・寮)へ入居が出来るケース
・家賃の一定割合を企業が負担するケース

等々があります。

まず何故企業が現地の住宅をケアするのか…その一番の理由は「安全(セキュリティ)」を気にしているためです。特に途上国などであれば「安全性」が高いということはそれ相応の場所でなければ担保が出来ません。そのため、日本では考えられない様な場所へ住めることも往々にしてあります。それ相応の場所は、安全性だけでなく、例えば、プールが付いていたり、ジムが付いていたり、掃除サービスが付いていたり、等々がある場合があるためです。もちろん、そもそも赴任先によっては”家賃”の水準が日本よりも高いという観点から会社からの手当が必要不可欠ということもあります。

そして…更なるケースとして、物件する物件によっては水光熱費がかからないことも考えうる、という点も大きく関わります。日本であれば月数万円支払っていたであろう水光熱費の支出が個人負担がゼロになる…そんなこともあります。住宅面では考えられないほどの恩恵を受けることができます。

ハードシップ手当

これは日本と比べて、医療・衛生面や気候・風土、治安、食文化等々が大きく異なる地域での大変さ(ストレス・負担)に報いる手当となります。行く国と日本との生活環境の差が大きくなればなるほどその額は大きくなり、差が少なければ少ないほど額も少なくなります。算出にあたってはMercer社などの都市別ハードシップ評価スコアを使い設定している企業が多いと考えます。イメージを単純化してお伝えすると、、ハードシップ手当は”インド>韓国”となるだろうということです。

さて、その具体的な額の設定は企業によってことなります。例えばインドであれば十数万円~二十万円前後/月であったり、中国であれば出ない企業もあったり、数千円~数万円/月といった具合と考えます。さらに言うなれば、国の中でも地域・都市別に額を設定しているケースもあります。

単身赴任手当・家族残留手当・家族帯同手当

国内であっても単身赴任者への手当がある企業も多いのではないかと考えます。ただ、異なるであろう点は、国内での単身赴任手当と比べて海外での単身赴任手当額は多く設定されているであろうという点です。こちらに関しては数万円程度/月と考えられます。また、企業によっては日本に残す家族を対象とした家族残留手当なるものも存在します。こちらも数万円程度/月で設定されていると考えます。

さて、更に大きく異なるのは、家族を帯同するとその手当までがつくこともあるという点です。国内であれば転勤で家族を連れて行っても個別の手当はつかないケースがほとんどではないかと考えますが、家族を帯同することで帯同手当が一人当たり数万円/月つくという企業もあります。

※独身の人はこの手当の対象外となりますので、年間にして数十万から百数十万程度ここで既婚者と未婚者での差がつくこととなります。

子女教育手当(学費)

昨今では日本も教育の無償化に伴い、手取り額の向上という観点ではその寄与は少ないかもしれませんが、家族帯同の際は子供の教育手当もひとつあげられます。もちろんケースバイケースですので、一概には言えないのですが、考えうる最良パターンとして考えられるのが子供の現地のインターナショナルスクール費用を企業が全て賄ってくれるパターンです。日本でインターナショナルスクールにいかせようものなから年間2、300万円かかったかもしれない教育機会を得られるかもしれないものが、会社負担となるのは大きなメリットです。

その他各種手当・福利厚生

国・地域、会社等に応じて様々な手当・福利厚生が存在しております。以下一例としてご紹介しますが、記載する以外にも様々なものがあります。

通勤手当(ガス・ドライバー等々含む)

通勤手当の考え方自体は日本にいた頃と大きく変わらないかもしれませんが、可能性として海外と日本では異なる場合があり、日本では”実費精算”であったであろう交通費が海外では手当として定額になっている場合もあります。この場合、通常定額内に収まるため、その余りが自分の財布に入ってくることもあります。

また、行く地域によっては車・ドライバーが貸与されることもあります。企業によっては、個人利用も含めて許されている場合もあり、休日の移動に全く交通費がかからない…なんてこともあります。これも本来は自分が支出していたであろうものが抑制されるという意味では、手取りの増加となります。

語学習得手当

英語や現地語を習得するために会社が支払う手当となります。企業によっては家族分までを支払うケースもあります。予算内での実費精算、手当として使用有無に関わらず支給等色々な支給方法が考えられますが、ケースによって額面・手取り向上につながります。

就業日数差を補填する手当

赴任先によっては日本勤務時よりも就業日数が増える地域もあります。この様な場合にその増えた分の就業日数分をしっかりと手当として支給する仕組みを作っている企業もあります。働いた分給料が増えるのは当然かもしれませんが、海外駐在者には一時帰国休暇・保養休暇など各種休暇制度も整っているため実際の実労働日数は日本と変わらないと考えられます。にもかかわらず、この手当が支給される場合はその分収入が増えるということになります。

保養休暇・健康管理休暇

駐在先の国によってはなんと、年に1回なり2回なり心身の保養等を目的として近隣の先進国までの旅費を企業が負担してくれる制度も存在しています。(そもそもそんな保養休暇が必要な厳しい国・地域に行きたくないなんて話もあるかもしれませんが。)これを前向きに捉えると、年に1回なり2回の海外旅行費用を会社がもってくれるという至れり尽くせりな制度となります。日本から家族で海外旅行を考えたら数十万円を見込まないといけないところそれがタダで行けてしまう、と考えるとこれも大きな福利厚生です。

転勤手当

国内でも転居を伴う異動の際に転勤手当が存在する企業も多いのではないでしょうか。ただ、これが海外赴任となるとその額が大きくなります。海外赴任に際して引き払わないと行けない家具・家電の処分費用や赴任にあたって必要なものの購入や現地での新規購入などをサポートするために支払われるものですが、実際にもらえる額を使い切らない方も多いのではと考えます。概ね、2、30万円〜5、60万円程度が赴任時のワンタイムではありますが支払われます。逆に帰任時にも支払われるため、この手当だけで50〜100万円程度を得られることになります。処分費・購入費の支出が抑えられれば抑えらるほど自身への収入になるということです。

海外駐在・出向者の年収って?【私の場合】

私が東南アジアに駐在をしていた時(20代半ば~後半)は…記憶を遡ってのため正確性に欠ける点をご容赦いただきたいですが…。

【日本勤務時】

額面 約650万円
内訳:月給 27万円、家族手当:1万円、残業代:13万円、賞与:160万円(年)
手取り:約500万円程度

その他:借上社宅(自己負担あり)

【駐在時】

額面 約850万円
内訳:月給 42万円、単身赴任手当:5万円、ハードシップ手当:10万円、賞与:160万円(年)
手取り:約750万円程度

その他:
借上社宅(自己負担なし・家賃日本円にして30万円程度)
車&ドライバー付き(休日も自己負担なしで利用可!)

でした。額面上、それほど多くなっているように見受けられないかもしれませんが、その要因は日本での残業・残業代が多かったためという点です…。日本での残業が毎月もう少し適正であれば、額面上も手取り上ももっとあがったものと考えます。

海外駐在・出向者の給与のこれからは?増える?減る?

いち人事としてはこれからも同水準が維持・または増加していくのではないかと考えます。

増加すると考えられる要因

その① 企業のグローバルでの競争力強化に向けた賃金上昇

昨今、ここ数年は日本でも賃金上昇が盛んに行われてきつつある印象です。大手企業では新入社員の給与を一気に数万円程度も上げるなど、目立った動きがあります。当然これは海外駐在・出向者にも影響を与えることになります。日本側での賃金上昇は海外駐在・出向時の賃金上昇にも直結します。賃金上昇は企業が国内外において自社の競争力を高めるためにも行われます。より良い人材を確保していくための賃金上昇は少子高齢化が加速する日本において今後も加速していくと考えます。

その② インフレーションの影響

物価と賃金が密接に結びついているのは言わずもがなですが、”海外”という観点では、ご存知の通り、日本よりも圧倒的に物価の上がりが大きく早く起こっています。これは、生計費に跳ね返ってきます。生計費があがるということはその指数も上がり企業が海外給与を計算する際の係数にも影響を与えます。シンプルにいうと、海外での生活費があがるから海外での給与も上がる、ということです。

減少すると考えられる要因

その① 途上国の発展(ハードシップ手当の減額)

ハードシップ手当の根拠となるデータは様々なコンサルティング会社がとっていますが、さて、これは当然毎年見直されています。生活環境の改善が進めば進むほどその国での”ハード(困難)”な点が減少することとなります。それが意味することはハードシップ手当の見直し(減額)です。

実際、いち人事としても、アジア各国のハードシップ手当の区分を毎年見直す中で、”減額”をおこなったケースは往々にしてあります。これは今後も当然起こりうる減少要因となります。

その② グローバルの”当たり前化”による経費削減等の海外給与手当の見直し

ひと昔前でこそ、”海外駐在”の大変さやそのイメージから様々な手厚い手当が存在をしていました。しかしながら、その昔に作られた規則が見直される時期に入りつつあるのも事実です。世の中はますますグローバル化し、海外とのやりとりも当たり前になり、海外が身近にどんどんなっている最中、”本当にその手当いる?そんなにいるっけ?”という話もあります。経費削減、費用の適正化…表現はさておき、そのような観点で海外給与が見直されるリスクもあります。

海外駐在・出向者になりたい!?どうしたら良い?

海外駐在・出向ですが、誰でもが行けるわけではありません。方法は主に二つ、

・海外駐在の可能性が高い企業・ポジションに就職をする。
・最初から駐在前提の案件に転職をする。

です。もちろん、語学の学習含め必要なスキル習得、キャリア面での上司等への発信等も必要不可欠です。

海外駐在の可能性が高い企業・ポジションに就職をする

可能性が高い企業とは主に以下で掲載されているような企業を指します。

東洋経済オンライン

売り手市場を背景に、年々早期化の傾向が見られる就職戦線。すでにインターンシップや学内セミナーへの参加経験がある就活生も多…

ただ、比率ももちろん大切で、数百人/数万人では数%しか駐在をしていない企業となりますので、数百人/数千人の数十%の割合で駐在者がいる企業が圧倒的に駐在のチャンスが大きくなります。また、もうひとつ大切なのは当然、ポジション(職種・職責)になります。シンプルに言うなれば、国内営業担当よりも海外営業担当の方が将来的に駐在する可能性が高いだろうということです。新卒であれば↑のような企業をめざしていくというのがまずスタートとなります。転職の方も転職先としてこれらの企業をめざすという方法が考えられます。

最初から駐在前提の案件に転職をする

海外駐在の求人自体がないわけではないですがそもそもの絶対数が非常に少ないのと、求められている経験に自身がマッチするかどうかという観点まで鑑みると非常に薄い線となる方法ではあります。(例えば、”私”の場合は、人事職種×海外勤務という求人はほとんどありません。)

ただ、案件がないわけではないので、日々求人をチェックする、またエージェントに登録してエージェントからまだ未公開の案件の情報を入手するという2つの方法で中長期を見据えた活動が必要になってきます。

どこから求人が出てくるのか、どのエージェントがそのような案件をキャッチしてくるのか、というのはわからないため、可能な限り登録するサイト、エージェントは多ければ多いほど良いということになります。もちろん、多いと大変なので自分がハンドリング出来る程度に程度絞る必要はあります。

さいごに

海外駐在は日本全体のサラリーマン人口から考えると極めて限られた人しかチャンスはないものではあります。もし、駐在できたとしたら様々な手厚い手当・福利厚生を享受することが出来るということがわかっていただけたと思います。概ね海外駐在は2年~5年程度の期間が限られたものと考えますので、ぜひ、もし機会が得られそうであればそのチャンスを掴むことをおすすめしたいと思います。

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