私もそうでした。新卒で”人事志望”で就活をしました。ただ、振り返ると、自分が入社して希望先である”人事”に配属されたことは非常に運が良かったとしか言いようがありません。
いわゆる、大手企業で同期は数百人。人事希望者が何名いたのかはわかりませんが、入社後に配属面談を通して決まったため、実際のところ人事以外の配属となる可能性の方が圧倒的に高かったワケです。
さて、ここでは新卒だけど、人事部門で働きたいという人向けに私自身の経験も踏まえてどうしたら良いかをご紹介していきたいと思います。
はじめに”人事”の認識合わせ
会社によっても、学生によっても非常に”人事”が意味する幅はそれぞれですので、ここでの”人事”が含む意味、キーワードを記載します。
といったことをここでは指していると前提の認識を合わせさせてもらえればと思います。
その他、”人事”と言ったときに包含しているケースがあるのが、
・法務業務(契約、取締役会運営、訴訟対応、コンプライアンス対応等)
・庶務業務(福利厚生、ファシリティ・アセットマネジメント、イベント企画等)
・CSR業務
等々ですがここではこれらは含みません。
会社によって”人事”と言った時にその部署が担っている範囲が異なりますので、その点もわかっておいて頂ければと思います。この辺りはその企業で組織体制がどのようになっているかで推測することはできます。
”人事”の仕事を第一志望に考えるのであれば職種別に採用している企業を受けよ
世の中多くの企業が存在していますが、新卒に関しては、日本は所謂メンバーシップ型で一括採用をして、配属は後から配属面談を通して決定されるケースも多いと考えます。
そのため、絶対に人事が良い!という人にとって、入社後に職種が決まることはその希望が叶わないリスクが極めて高いと言わざるを得ません。
職種が決まっていくプロセスはいくつかパターンがあるかと思いますが、大きく以下の4つに分けられると考えます。
②面接を通して最終的に職種まで決めてくれる会社(合格時に職種まで決めてくれる)
③内定後入社前までに配属面談等を通して職種を決める会社
④入社後に配属面談を通して職種を決める会社
”人事”(職種)を最優先するのであれば、受ける企業は①か②の企業にフォーカスすることおすすめします。その次に注力するのが③で、④は入社後、営業配属、経理・財務配属など、”人事”配属が叶わない可能性がありますので一番後回しにするべきです。
私のケース
ちなみに私は④のタイプの企業に入社しました。”人事”がやりたいです、と面接で一貫して希望して内定をもらい入社しましたが、最終的に職種が判明するのは入社後でした。入社後配属面談があり、”人事”配属が決まりましたが、同期で人事希望で他職種配属になった人に何名も遭遇し、結果よかったものの、人事配属にならない可能性の方が高かったことを実感しました。
入社後、職種間のローテーションがあるかどうかを確認すべし
前項で述べた、職種の決定タイミングの大きく分けての4つですが
②面接を通して最終的に職種まで決めてくれる会社
③内定後入社前までに配属面談等を通して職種を決める会社
④入社後に配属面談を通して職種を決める会社
①、②であれば、会社として比較的人材の在り方が「ジョブ型」に近いのではと考えます。つまり、「人事」で入社した人は「人事」でキャリアを積んで行く、「経理・財務」で入社した人は「経理・財務」でキャリアを積んで行く。その職種で専門性を高めていくことが求められる傾向にあるのではと考えます。
ただ、必ずしも①~④どの企業であっても一つの職種でキャリアを積んでいけるのではなく、会社によっては、職種間のローテーションが行われている企業も珍しくありません。さまざまな職種を経験したい人にとってはとても良い仕組みと考えますが、最初から人事を希望するような方であれば、基本は人事一本でキャリアを積んでいくことを望んでいるのではないでしょうか?
そのためこの職種間ローテがあるかどうか、そのローテがどのような位置付けで行われているかはしっかりと入社前に確認しておくことをおすすめします。
私のケース
正直、私は入社前そんなことまで頭は全く及んでいませんでした。入社後、働き始めてから自社が滅多なことで職種間のローテーション(異動)がないということを知りました。
同時に、他社人事との交流の中で、経理→人事や、SE→人事、人事→営業等あたり前のように職種ローテがある会社があることも知りました。
どこかのタイミングでキャリアとしての”軸”は出来上がってくるわけですが、正直、自分自身は職種間ローテがなくてよかったと感じています。ただ、人事として”職場”のことを深く理解する・出来るという意味では、他職種の職場経験を若いうちに積めるとしたらそれは”人事”としての深みも増すと考えます。
”人事”希望と言うなれば”人事”のことを多少は勉強すべし
職種別採用の面接でも、配属面談の場合でも面接官はその希望する”職種”からアサインされている可能性が高いです。つまり、”人事”職種を希望の場合は、人事部署の人が面接官をしているということです。
私自身も面接官(人事の立場として)をしますが、その際は”人事”志望の学生の面接をすることもあります。”人事”志望の学生の面接をする時に一番残念に思うことは、職種に対する志望動機の浅さと、人事業務に対しての不勉強さです。そのため、せめて”人事”を志望するからには”人事”のことを少しは事前に学んでいただくことを強くお勧めします。
職種に対する志望動機の浅さを感じる瞬間
これ自体が悪いわけではありませんが。ただ、人事の仕事の一面しか見ておらず、人事面接官からすると”危うい”と感じてしまいます。
採用業務は人事の中でも最も”明るい””前向き”で楽しく見える仕事のいち側面でしかないため、その他の業務について無知であればあるど、入社後のギャップが大きくなります。
人事業務に対しての不勉強と感じる瞬間
と、面接の中でやりとりがありますが。結局、人事部門に対して、”採用”と”教育”くらいしか具体的な単語が出てこない人が非常に多いです。実は、人事部門において、”採用””教育”は本流ではありません。あまりにも、”採用””教育”といった前向き、明るい仕事の話しか出てこない場合は、入社後のギャップも心配になります。
人事の志望動機とは(例)
人事がどんなことを求められているのか。それを学んでいくことで、自分が人事になった時どんなことをしていきたいか、ということもイメージが多少湧いてくるのではないかと思います。
良く聞かれるのは人事にとってのお客さんは誰か?と言う話で、”従業員です”という話がありますが、それ自体に反論するわけではないですし、私自身もそう思います。
しかしながら、私は、人事は会社において経営側の役割を担っている、というマインドも持って欲しいと思っています。そのため、人事としてのお客さんは、従業員はもちろん、会社における経営層もお客さんとなります(パートナーと言った方がしっくりくるかもしれませんが。)
人事の仕事を事前に把握し、志望動機をしっかり練っていただきたいと思います。
私のケース
そのため、新卒就職活動の当時、私は面接で”人事”職種の志望動機は”従業員”観点というよりも”経営””企業”観点で以下のように述べていました。
企業にとって、人が一番重要な経営資源であると思っています。そのため、従業員が会社において高い成果を出せるような環境作り、そのために成長出来る機会の提供などの取り組みが非常に重要だと思っています。成果は見えづらいかもしれませんが、人事として会社全体に影響を与えられるような企画立案を通して、従業員に良い影響を与えることで、その人達を通して会社・社会に貢献していきたいと考えているためです。
今、自分で読み返してもこれだけでは当時の自分は今の自分を納得させられないなと感じます。が、一回のやり取りだけで話きるわけでもないので、何問かの掘り下げ質問を受けそれに答える中で、”人事”職種への志望をしっかりと面接官の人にもわかってもらえたのだと考えます。
あとから人事になることも考えてみるのもありか
新卒で人事をめざしたいと思ってくれる人がいることは非常に嬉しい限りです。ただ、人事は必ずしも最初から人事部署に配属されなければいけないわけではありません。
私は入社してからずっと人事ですが、よく感じるのは、実体験がないが故”本当の意味で職場のことがわからない”です。そのため、職種間ローテの話をしましたが、他職種を経験してから人事に進むのも一案と考えます。
この場合は会社内での職種間ローテまたは転職を通してのキャリアチェンジ(職種変更)をする必要がありますので、それはそれで一定のハードルはあるものと考えますが、人事として現場経験は一生の財産になるのではと考えます。
私自身の会社では職種間ローテはないと述べましたが、そんな中でもまれに営業→人事等に異動になる人がいます。
やはり、そういった実際の職場経験を持っている人は人事職場で一貫してキャリアを積んできた人よりも、もっと明確で深い課題意識を職場の前線から持ってきており、他の人とは異なる強みがあると感じます。
仕事内容の良し悪し含め本当に人事が自分のやりたい仕事なのかを考えよ
人事は非常にやりがいのある仕事と思っています。企業は”人材”なくしては成り立ちません。その”人材”に関しての仕事となりますので、やりがいがないわけがありません。ただ、採用・教育のような前向き、明るい仕事ばかりではありません。
会社の業績が振るわなければ、世間でもニュースになったりするように、社内で早期退職を募ったりもします。その際は成果の出ていない評価の低い人材を外に目を向けさせるようなこともしなければならなかったりします。(時々過ぎた退職勧奨が問題となり、裁判沙汰になってたりしますね。)
非常に泥臭い仕事も多いです。例えば、年次有給休暇取得5日が義務となりましたが、それを達成するために年度末には5日取得出来ていない従業員の上司をひたすらフォローするような業務。職場労働時間を定期的にモニタリングして、残業時間が過多になりすぎており36協定違反(法律違反)になりそうな対象者がいれば違反になる前に手を打つような業務。同一労働同一賃金が施行されましたが、その対応等。”働き方”の側面からだけではなく、労働法等の法律に対応した業務推進も求められます。
まとめ
つらつら書きましたが、まとめますと、
・職種間ローテーションについても確認せよ。人事で入社出来ても、会社によっては3、4年後は別職種になる可能性も。
・人事をめざすからには人事のことを最低限勉強せよ。面接の相手は”人事”の中の人である可能性が高い。
・仕事内容の良し悪し含め、本当に人事をやりたいのかを改めて考えよ。
となります。
さいごに
ただ、なんとなく”人事”がいいな程度ではあまり人事はおすすめしません。会社によりますが、やはり、人事は「お金を稼がない部門=コスト部門」ですので、十分な人員がおらず、その割には求められている役割は重大であり忙しいところも多いです(余談ですが、新卒採用担当は当たり前のように就活シーズンは土日祝出勤が当たり前の場合があります。)そして、述べてきたように、明るい・前向きな仕事ばかりではありません。私個人は人事の仕事は人事施策企画・立案・推進を通しての事業・経営への貢献と捉えています。
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