色々な期待をもって会社へ入社されることと思います。しかし…あらかじめ職種や勤務地、携わる仕事が決まっている企業へ入社する方もいれば、配属は後から決定という企業へ入社する方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そのような場合はまだ不安な部分もありますよね。もし、配属面談を通して配属が決定されるのでしたら、是非、それも大事な大事なステップの一つですので、採用選考の面接同様に心して望んで頂きたいと思います。まだ油断はしてはいけません。
ここでは配属を人事担当者が面談を通して行うというケースを想定し、話をしたいと思います。少なくとも、いち人事担当者の私自身はこの様なスタンスの方の配属は極めて悩みます。“彼を知り己を知れば百戦殆うからず”ということで、少しでも参考になれば幸いです。
一体配属面談では何を話すのか?
当然会社によって異なりますが、複数の事業体を抱えている企業であれば、たずさわりたい事業体、つきたい職種、希望の勤務地、etc.についてと考えます。配属面談は主にこの3つを決めるために、会社に入った後どのような事をしたいかを改めて聞かれる場となります。
特に総合商社ともなると、事業体はファッション関連から、食料、ヘルスケア、エネルギー、金属等々と多岐にわたりますし、職種も様々です。「営業」という希望は通っても、ヘルスケア希望なのに金属部門に配属されてしまったら極めてモチベーションが下がってしまうかもしれませんね…。
配属面談を通して人事が達成したいことは何か?
“彼を知り”ということで、人事は配属面談を通して何を達成したいのかですが…
大きい目標、思い、理想としては、皆さんの希望・適正と部門からのニーズをマッチさせ、配属先部署及びそこへ配属される皆さんの両方に喜んでもらえることを目指しています。
・皆さんからは「あの部署に配属されて良かったです!仕事大変なこともありますが、楽しいです!」
・職場からも「今度来たA君はすごく頑張ってくれているよ。うちの部署に配属してくれてありがとう」
と言ってもらえるのが励みです。
一方で、現実として身も蓋もない話をするならば…前述の様な思いも持ちつつも、現実は各部門への配属者の割り振りをコントロールしなければならないというミッションもあります。それは、人事として○○事業体へXX人、△△事業体へXX人、□□事業体へXX人、営業はXX人、経理はXX人であったり、関東営業所へXX人、関西営業所へXX人、九州営業所へXX人であったりをコントロールしなければならないのです。
会社側(各事業体・職種・勤務地への人数、職場が求める能力・スキル)と、皆さん(事業体・職種・勤務地への希望、持っている能力・スキル)を全体としてマッチさせることが現実としての目的です。
では…実際配属面談ではどう立ち回るか?大切なポイントは?
初志貫徹、出来れば意見をぶらさない。軸を通す。
採用面接時と配属面談時の話をぶらさないのは大切なポイントの一つです。当然、担当者は採用面接時の面接調書に事前に目を通しています。選考時と配属面談時に話が変わっていたら、そこは人事からするとつっこみたい(しっかりと聞きたい)ポイントの一つとなります。採用面接時~配属面談時まで一貫した想いを持っていると、ぐっと人事の心にも伝わってきます。

発言イメージは、総合商社や大手SIer企業、電機メーカー等複数の業界を相手にしているBtoB前提ですが、何故その事業体を志望するのかの根拠も比較的明確で私はぐっときます…。軸が一本通っている人の希望はその軸を叶えたいと感じます。
※採用面接時から希望を変えたらいけないわけではありません。面接で合格を申し渡されて以降、会社の社員と会い、話す機会を通して当初希望していた方向が変わってくることも十分にあります。しっかりとした理由があれば、変えて頂いて問題ありません。(ただ、私個人は採用面接時・配属面談時、それぞれ話した両方の仕事について興味はあるってことね!と受け止めます。)
相手の意見を受け止めつつも、揺さぶられても、ぶらさない
人事は面談を通して根ほり葉ほり聞いてきます。全体調整を図らないといけないので…。つまり、一番に希望している事業体・職種・勤務地以外への興味・希望度合について聞いてきます。第二希望、第三希望をさぐってくるわけですね(もしかしたら、事前に配属の希望調査をとる企業なんかもあるかもしれません。)そして、もし、あなたが第一希望を通したいのであれば、変に人事の意見に同調することはありません。
人事は話を広げたり、他のところに皆さんが発言した内容を当てはめたり誘導してくるかもしれません。

と…何故“その職種”でなければならないのか、何故“その業界”でなければいけないのかをくどくど聞かれるわけですね…。何故なんでしょうか?それをしっかりと予め自問自答し、考えておく必要があります。ここで、「う~ん…そうですねぇ…」となっていては、しっかり考えられていないんだなと思われてしまいます。
しっかりと、一旦意見を受け止め、

確かにおっしゃる通りではありますが、お客さまの求めているニーズに対して自社の製品・サービスを提供することを通して、様々な人と関わり合いながらお客さんを笑顔にしたいと思っています。過去に営業アルバイトを通して、お客さんがどんなことに困っているのか、どんなことを求めているのかということを聞き出すスキルが身についたと思っています。そして、お客さんに何が出来るかを考え適切な商品を提案することで、結果、店舗の売り上げにも大きく貢献することが出来ましたし、お客さんには自分の提案したことを受け入れてもらえ、笑顔を見ることが出来たときにはすごくやりがいに感じました。その経験もより活かして行きたいと考えており、営業職を希望しています。
おそらくこの後はそのアルバイトでの具体的な話を深堀されますね。
また、人事は場合によっては、あなたが第一希望としている事業体や職種、勤務地のデメリットを上げてくるかもしれません。



なかなか、「どちらもです」とは言い辛いですよね。人事としても「どちらもです」という回答を期待しているわけではありませんが、しっかりと自分の中で軸を決めておき、優先する方を述べてください。

いろんな観点・情報を与え、最終的には、出来るだけ皆さん自身と受け入れる職場、双方が納得し、願わくは喜んでもらえるように人事も必死なわけですね。
変に人事に甘い言葉を送らない

ありがとうございます。その一言とっても救われます。けど、それを言ってしまうと、本当にどこになるかわからなくなってしまう可能性もあります。やる気に満ち溢れた良い一言ですが、そこは希望があるのであれば、その“希望先”にやる気を込めて、~で頑張らせて頂きたいです!と言っていただいて問題ありません。(本気で、どこになっても頑張りますという思いがあれば、もちろんそのように言っていただいてウェルカムです。)
しかし、ゆずれるラインは用意しておく
人事担当者から、正直ベースで会社として全員の全ての希望を通せるわけではないので、何を優先したいのか?と聞かれるかもしれません、その際、何か一つを強く通したいなら逆に譲れるラインを用意しておくと人事側の検討の幅が広がります。“営業”という職種が譲れないのか、“エネルギー”という関わる事業体が譲れないのか、”勤務地”なのか。事業体も、職種も、勤務地も全部主張されたら、極めて困りますし、極論、もういっそ叶えられないから全部第二希望にするか…となっても困りますよね?
裏の手を使う(勤務地に限る)
これは使える人が限られる奥の手で、且つ、勤務地くらいにしか使えませんが…例えば、東京配属7割、関西配属2割、その他1割の時にどうしても東京勤務を実現させたい場合、もし、実家が東京でしたら…

としんみり言われたら、私の中ではもう東京配属決定です。親の状態は確かめるすべはないですし…。私としてその発言自体疑おうとすら思いません。ただ、相手の良心を悪用する術なのでやっては欲しくないです。
※この手で関西勤務を叶えるために、「京都の親が病気がちで関西勤務がいいです」と言われたら、いや、なんでうちに来たの?うち、関東勤務がメインなのだけど!と、不信感を買うだけなので、それは避けた方が良いです。
おわりに
本質的なところ少々、本質ではない枝葉事にも大分触れましたが、色々な考え方がありますよね。本当はぶれてもいいんです。人事担当者としては配属先の職場のことを考えつつもみなさんの事もしっかり考え、双方が可能な限りハッピーになったらいいなと思い、全体を俯瞰してみて配属を決めています。変に何かに固執し頑固になるよりも、しっかりと考え抜いたうえで悩むところがあれば相談をしてくれればと思います。よい配属結果となるといいですね!(尚、そもそも配属者数が1名2名等の少ないところへの希望は当然通りづらいので、あらかじめ覚悟をもってのぞんでください。)