転職|年収が下がる…転職するべきか?しないべきか?悩む場合は…

転職をする際はいろいろな心配事がつきまとうことと思います。そんな数多の心配事の一つに言い方は色々ですが”年収””賃金””収入””給与”もあるでしょう。

そもそも転職前のタイミングで年収が下がってでも転職すべきか悩んでいる人、現在、労働条件のオファーまで受けた上で現職よりも下がる年収提示を見て転職すべきか悩んでいる人、様々な人がいるかと思いますが、こちらでは年収が下がっても転職するべきか?についていち人事としての意見を紹介したいと思います。

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転職すると年収は下がるのか?上がるのか?

つまらない回答で恐縮ですが、転職で年収が下がるのか、上がるのかは”あなた”次第です。

これはつまり、転職で年収が下がる・上がるの話というよりも、年収の上がる転職をするのか・年収が下がってでも転職をするのか、の”あなた”の選択となります。

とは言っても…ということですが、一般的には例えば、未経験の業界や職種の仕事にキャリアチェンジする場合などは転職で年収が下がっても仕方ない転職のひとつとなると考えます。

また、都会から地方への転職なども賃金が下がらざるを得ないケースと考えます。

転職で賃金が上がった人・下がった人の割合は?

2019 年(令和元年)雇用動向調査結果によると、

令和元年1年間の転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金に比べ「増加」した割合は34.2%、 「減少」した割合は 35.9%、「変わらない」の割合は 27.9%となっている。「増加」のうち「1割 以上の増加」は 22.7%、「減少」のうち「1割以上の減少」は 27.6%となっている。

とのことですので、3人に1人は賃金が上昇していることとなりますが、一方で3人に1人強の人は賃金が減少していることともなりますので、どちらもケースとして珍しいわけではありません。

年収が下がっても転職するべきか?悩む場合は?

もちろん、それは人によるものではあります。転職の目的が何かというところに立ち返って判断をする必要があります。しかし、「給与」「年収」「生活水準」等が”あなたにとって重要な要素を占めているなら年収が下がる転職はするべきではないと考えます。

また、ここのテーマでもある、
”悩む場合”この場合もその企業への転職は再検討した方が良いと考えます。

年収が下がる転職は避けたほうが良い理由

一度下がった賃金はそう簡単にはあがらない

賃金が上がるケースは、いくつかありますが、そんなに多くはありません。みなさんご存知の通り、定期昇給、ベースアップ、昇進に伴う昇給が主な3つかと考えます。

定期昇給について

まず一つ目は定期昇給ですが、定期昇給は会社が定めたタイミングで定期的に賃金を上げるシステムです。多くの企業では少なくとも年1回が定期昇給のタイミングとして設けられているものと考えます。

その昇給幅は会社によって様々ですが、4月が一般的です。そしてその昇給幅は”個人の成果”に紐づくことが大体です。

さて、そして、この定期昇給・ベースアップの一般的な昇給率は約2%と言われています

つまり、もし、基本給が30万円/月であった場合、昇給は6,000円程度となります。基本給が25万円/月であった場合は、5,000円程度です。単純にこの数値だけで考えると、月の給与が4万円下がった場合、それを取り戻すには定昇・ベースアップだけの場合は元の給与に追いつくのに何年もかかることになります。

ただ、その何年かの間に、”あなた”が活躍して会社に認められれば昇進・昇格がありますので、そちら側をもってして前職の給与水準に追いつき、追い越すことは出来るかもしれません。

ベースアップについて

毎年春闘の時期になると「電気連合 ベア3000円以上要求」などとニュースで”ベア”について度々目にすることがあるかと思いますが、会社の業績に応じて社員全員の給与を一律していくらか上げることをベースアップと言います。

もちろん会社側としては、ベアとして全従業員の給与を一律で上げることは純粋に人件費増加につながるため非常に嫌がります。

昇進・昇格に伴う昇給

いち社員から主任・係長に昇進するや、主任・係長から課長に昇進するなど、それに伴う昇給です。企業によって基本給が上がったり、役職手当がついたりと、処遇の仕方は様々かと考えますが、これも一つの給与増です。

昇格は、社内における給与の等級などが一段階上がることを言います。この際も給与が一段階それに応じて上がる運用が一般的です。

 

給与が下がった場合は定昇・ベースアップで追いつくことは時間がかかる。
年収アップには昇進・昇格がマスト。

ということになります。まだ入社してもいない身からすると既にハードルが高く感じてしまうのではないでしょうか。

転職により退職金が目減りしている可能性も大

一定の規模・歴史のある日本企業だったりしますと退職金の仕組みも整っていることが多いかと思います。この退職金、年次であったり、役職であったり、評価であったり、企業によって様々な要素をもとに、積み立てられていることと思います。

やっかいなことに企業によっては、
・退職自由(自己都合退職と定年退職等)によって支給の際、用いる率や係数が異なる
・在籍年数に応じて支給の際に用いる率や係数が異なる
といったことがありえます。

そうなると現職(前職)で受け取れた退職金というのは、当然定年まで働いていたことと想定して比べるとかなり目減りした退職金となっている可能性があります。

また、転職先でも当然入社してからの退職金の積み立てとなります。この場合、また、もし転職先の退職金の仕組みにおいて、在籍年数によってなんらか率や係数が異なっていたりすると、転職先企業でもらえる退職金も目減りする可能性が否めません。

一概にはなんとも言えませんが、人によって数十万~数百万の目減りにつながる可能性もあります。給与水準は変わらなくとも、退職金が目減りして、トータルでの生涯の所得は既に減っている可能性があるということです。

再転職でも不利になる可能性

もしまた再度転職をする際、転職先の企業が真っ先に気にするのは直近の在籍企業における年収となります。2

社前・3社前の年収までは気にしてくれないこともあります。そうなると、”あなた”の市場における価値の一部が下がることにもつながりかねません。

いち事例

前職:年収700万
現職:年収600万
転職先:オファー額年収650万

という具合がありえるということです。

転職先(受け入れ側)の観点として、少なくとも現職を上回るのだから良いだろう、という思考が働く可能性があります。これは転職先企業にもよりますが、現職をベースにオファー額を決定している場合は特にありあえると考えます。

年収が下がっても転職を考えてみても良いケース

転職先の平均年収が高く将来に期待ができる場合

転職先企業の平均年収が明らかに高い場合、一時的に給与水準が下がったとしてもその後の伸びに期待が出来ると考えます。

昇給額が高い、昇進・昇格後の給与アップの幅が大きい等、期待できる要素があります。この場合は、収入減は一時的なものと捉えて、チャレンジをしてみるのも良いと考えます。

未経験の仕事への挑戦の場合

これまで経験はしたことがないが、挑戦したい仕事がある場合。その場合は、ある程度給与が下がるとしても、”やりたいこと””挑戦したいこと”を優先するほかないと考えます。

”あなた”にはその仕事での経験がない以上、企業側も社会人とはいえ未経験者の採用となるため、むやみに処遇をすることも難しいと考えます。未経験のやりたい仕事にチャレンジできる機会を与えられたとしたら、その方が給与以上に貴重なことです。

そもそもの現在の給与が高い場合

羨ましい限りですが、中にはそもそも今の給与が十分に高いという人も中にはいらっしゃるかと思います。この場合は、ご自身が転職に伴う収入減を許容出来るのであれば、転職を進めても差し支えないと考えます。

ただし、極端に年収が下がる場合、生活水準まで下げないといけなくなります。この場合は、自分がの生活スタイルを見直す必要があるため真にそれが許容できるかどうかを判断する必要があります。

給与以上にやりたいことに携われることを優先したい場合

どうしてもやりたい仕事、仕事の内容を優先したい場合。それが出来るのであれば年収が下がってでも良いと考えていらっしゃる場合も、収入よりも仕事を優先しても良いと考えます。自分がやりたい仕事に出会える機会というのはそうそうありません。

いずれまた次のキャリアに進むつもりの場合

転職先で経験を積んでまた、そこで得たスキル・経験をもとに次のステップ(独立・転職等)を考えている場合は、収入が減るのも一時的なものと捉えることも出来ます。

この場合は、その次のキャリアも見据えた上で、直近必要な経験が得られる仕事に就く、ということを優先することが良いと考えます。

QOLの向上が見込める場合

前述までは、”年収・給与”や“やりがい”等を中心に述べて来ましたが、それだけではないですよね。トータルでQOL(Quality of Life)、人生の質の向上が図れるのであれば多少年収が下がっても転職は全然あり!と考えます。

やや極端な例ですが…

【転職前】
給与は良いけど、毎日片道1時間30分、往復3時間の通勤…しかも満員電車で…。年収1,000万とは言え、普段残業もあるし、通勤時間も長いし、家族との時間は全く取れない。朝は子供が寝ている間に家を出て、帰ってくる頃には子供は寝ている…。家族との時間は週末だけ。
【転職後】
給与はそこそこ年収700万だけど、家から片道30分程度で通勤が出来る。満員電車は仕方がないが、朝は家族で朝食を取る時間もあるし、残業は多少あるが、週に何日かは家族でそろって夕食も取ることが出来る。

かなりのQOLが向上している気がしますね。通勤時間も-2時間で人生が充実すること間違いなしです。家族に限った話ではありません。家族を趣味とかプライベートの時間に置き換えてもある程度同じことが言えますね。

転職を通して年収を上げるためには

同業界のより平均年収の高い企業へ転職をする

多くの企業が自社の物差しを使って転職者の給与を設定するケースが多いと考えます。そのため、同じ業界の中のより給与が高い会社へ転職することは年収を上げる方法として有効的です。

今や情報はネット上に溢れに溢れています。

平均年収が高い企業への転職≒オファー額も現職を超える可能性がある

このメリットは同一業界・同一職種の転職は転職の中でも比較的成功しやすいパターンであることです。そのため、転職の際に年収を上げる方法の一つとして検討していただく際には是非取り入れて欲しい方法です。

ただ、現職で”あなた”が非常に優秀で評価されており同期よりも頭一つ抜けていたりする場合は、転職先にいってもそれほど給与は上がらずに、同水準になる可能性も否めません。

しかし、それは最初だけで、前職よりも平均年収が高い≒その後の会社生活における昇給にも前職よりも期待が出来るということにはなります。

現業界より平均年収の高い別業界へ転職をする

業界によってその給与水準は大きく異なってきます、職種での一定の強みがあればその職種を活かして、他業界での同一職種への転職が有効です。
(例:介護業界の経理・財務 → 医療機器メーカーの経理・財務
飲食業界の人事・総務 → 食品メーカーの人事・総務  等々)

ただ、中途採用としては企業は職種での経験は、出来れば近しい業界からの採用をやはり望んでいますので、決して簡単に行くわけではないことはご承知ください。

厳しいかと思いますが、私自身これまで、異なる業界から採用しているケースも多く見ていますので、チャレンジする価値はあると考えます。不動産業界の営業、旅行業界の営業、金融業界の営業と様々な業界の営業の方を自社にて採用したことがあります。

業界の平均年収については様々な転職サイトが紹介しています。業界の分け方等によって順位が前後している様子も見受けられますが全体の傾向は掴めるのではないかと考えます。

■ご参考サイト

平均年収ランキング(業種別の平均年収/生涯賃金)【最新版】
https://doda.jp/guide/heikin/gyousyu/#anc_job_01

業界別 平均年収ランキング
https://gyokai-search.com/5-nensyu.html

一つ上のポジション(役職・職位)へ転職する

そんなことが可能なのか…と私自身も思っていた時期がありますが、周囲の人間で立て続けに3名ほど転職を機に職位を上げたケースもまのあたりにしました。

また、自社採用でも同様のことを行なったことがあり、決して事象としてないものではないといった認識に変わりました。

役職・職位が上がる≒提示される給与水準も自ずとそれに見合ったものになる

そのため、いち担当者から主任・係長等の案件への応募、
いち主任・係長等から課長・マネージャー案件への応募等々は転職の際に年収を上げる方法としてこちらも十分にあり得ます。

ただ当然、”役職”がつくということは一定のマネジメントスキル・経験も求められますので、その能力が一定程度あった上で叶うものとなります。

職務経歴上にマネジメント経験について言及することは必須ですし、面接の際にもしっかりとアピールできるようこれまでの自身のマネジメント経験を整理しておきましょう。

転職の際に年収(給与)交渉をする

私、いち人事としてのスタイルとしては、基本的に年収交渉には応じません。
何故なら・・・
・年収が交渉によって額が変わると、最初にこちらが考えに考えて提示した額の信頼性が損なわれるから。
・場合によっては交渉した人は多くもらえる、しなかった人は少なくなるなんてことが入社後に起こって欲しくないから。
と考えるためです(古い考え方かもしれませんね)。

しかし企業によっては年収交渉にも応じてくれるところはあります。
そのため、給与交渉といった方法も転職時に年収を上げる方法のひとつとなります。

転職の際に年収(給与)交渉をする際のポイント

・給与交渉を行うタイミングは内定後・オファー面談前がベスト

給与交渉は基本的には選考の面接段階ではなく、”合格”がでたタイミングで速やかに行いましょう。面接中に給与”交渉”を行うと心証の悪化にもつながり、合否判定に悪影響が出る可能性があります。

・事前に処遇を上げることも転職で実現したいことのひとつであると宣言しておく。

転職理由を述べる際に言及をしておくと、企業側(転職先)として”あなた”を採用する場合に勘案しなければならない事項の一つとして認識をしてもらえます。つまり合格となった際の給与のオファー学に影響を与える可能性があります。

ただ、年収アップが一番の目的と捉えられないように十分に気をつけましょう。”この人は年収提示が高い企業に行くんだな”と思われ、一気に手をひかれてしまう(不合格になってしまう)可能性も十分にあります。

転職エージェントをうまく使うのがおすすめ

なかなか自分では給与交渉が難しいかと思います。その際は転職エージェントを使うのがおすすめです。

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よくあるエージェントとのやりとり

転職エージェント

○○さん、うち経由でB社さんからはXXX万円くらいのオファーがあったみたいですね。御社はどれくらいになりますかね?

企業

①うーん…うちはそこまで出せないなぁ…仕事面でのやりがいをお伝えできれば…とは思いますが…
②なるほど、であればうちも同等以上の設定を検討してみます。

等々あり得ます。

転職エージェント
△△さん、この経験・このスキルからすると、現職(前職)も比較的給与高いですが、やっぱり希望額以上のオファーをしないと内定を受けてもらえないと思うんですよ。他社さんもそれくらいは払うと思います。
企業
そうですか。とは言ってもうちも給与制度はあるので、、出来る範囲でどこまで良い処遇が提示できるか内部でも検討してみます。確かに、中途半端な提示をして他社に逃げられてしまうくらいなら、出来うる最大のオファーをしたいですね。それで辞退されるであれば、やむなしです。

エージェントさんによって表現は変わってきますね。

優しく教えてくれるエージェントさんもいれば、ぐいぐいより良い処遇を引き出そうとしてくるエージェントさんもいればです。(まぁ、年収提示があれば僅かであってもエージェントの取り分(人材紹介料)にも影響はなくはないですしね?。)

年収アップにおすすめの転職エージェント

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さいごに

年収が下がる転職を決断することはとても勇気がいることと思います。自分一人の場合は、自分の決断次第ではありますが、特に扶養している人がいる人であればその悩みは非常に深いと推察します。

ただ、”お金”だけでの要素で全てがまわっているわけでもありません。様々な観点から、総合的に判断して決断をしていただく必要があると考えます。

理想は、年収は現状程度維持以上でその他のところ(自分が実現・叶えたい点)が達成できることが理想系ではあるとは思いますが…。皆さんの転職活動が成功することを祈念して以上といたします。

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