さぁ、転職!と考えた時にやはり、いついつまでには転職したい、という自分の希望の日付から逆算して考えるが大体ではないでしょうか?
一般的には転職活動にかける期間は3ヶ月~6ヶ月と言われています。ただ、これは”期間”の話であり、”いつ辞めるか”はまた別の話となってきます。
もし、ここが不明確であり時期(会社を辞めるタイミング)を定めずに転職活動をスタートした際には後々思わぬ落とし穴や失敗につながる可能性があります。ここでは、その「いつまでに」を検討するための参考となりうる観点を人事的にご紹介したいと思います。
(本記事は、在職期間中に転職活動を行う想定で、離職後の転職活動とは異なりますのでご承知ください。)
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何を気にするべきか
・現職での賞与規則の確認(支給日・支給対象者)
・業務の引き継ぎにかかりそうな期間(自分の仕事の区切りのタイミング)
・有給消化をしたいかどうか
・転職市場における求人案件数
・転職先の希望入社日(想定)
以上、6つが主なポイントと考えます。それぞれ以下で具体的に説明いたします。
①就業規則の確認(現職にいつまでに退職を申し出る必要があるか)
非常に重要なポイントの一つです。退職の申し出時期は会社の就業規則にて定められているケースが多いです。民法627条1項には、期間の定めのない雇用(正社員はこれに当たります)の場合は、2週間前に申し出ることで退職をすることが出来ると定められております。
しかしながら、就業規則上では「1ヶ月前には申し出ること」「2ヶ月前には申し出ること」と定めている企業が多く存在しています。
確かに2週間前の申し出であればごり押しをして最終的に退職をすることはできると考えます。ただ、当然転職先は基本的に現職を円満で退職して自社に来てくれることを期待しています。
また、ギリギリでの退職を行うことで、現職内の手続き関係に不都合が生じたりすることで退職金支給の後ズレ等も考えられます。
(参考)
私の会社では、1ヶ月前と就業規則で定められております。また、退職の申し出があった際には慣例的に社内手続きの都合もあり月末での退職を調整するケースが多いです。
②現職での賞与規則の確認(支給日・支給対象者等)
気にする人は気にすべき所です。現職では一体いつ賞与が支給されて、その支給対象者の定義は何か。ということを知っておくことです。
自己の都合により退職をする人には賞与を払わないと定めている会社もあるでしょう。また、賞与支給日時点で在籍していることが賞与支給の条件になっている会社もあるでしょう。
そういった諸々の規則を知ることで退職時に、本来であればもらえたであろうはずの賞与をしっかりと貰った上で退職することができます。
企業によっては賞与支給前に退職を申し出た場合はその減額に関しての規定を設けている場合もある様子ですが、あまり細かく考えすぎると退職タイミングも定めづらいため、その観点はここでは割愛いたします。
一例
賞与評価期間:10月1日~3月31日(下期半年間)
賞与支給日 :6月XX日
支給対象者 :賞与支給日時点会社に在籍している者、評価期間中1ヶ月以上の出勤がある者
この場合ですと、6月XX日まで在籍しており、6月末退職→7月1日付転職先入社であればほぼ賞与に関して無駄なく転職ができます。ただ、やはり、結局4月1日~6月末までの3ヶ月分働いた賞与は支給されないということになると考えます。
このケースではもし、6月の賞与支給日前の5月末退職をしてしまうと、トータルでは10月1日~5月末までの8ヶ月間分の賞与を棒に振ることになります。もし、調整が出来るのであれば、せめて6月賞与を受け取った後と思います。
③業務の引き継ぎにかかりそうな期間
退職をいつまでに申し出たらいいかは、法律で定められていたり就業規則で定められていたりしても、現実は内定を得ていざ「退職をしたい」と申し出た時、これこれこういう理由で3ヶ月は留まってもらえないか?なんて話はざらにあります。
円満退職をめざすのであればそこまでのリスクを踏まえて意識する必要があります。
人事として中途採用者の入社日の調整時に良く聞く例としては
・今自分が携わっているプロジェクトがちょうど2ヶ月後に終わる。そのため、そこまでは居て欲しいと会社からも要望を受けている。自分としても今のプロジェクトまでは責任を持って終えてから入社したい。
・引き継ぎに当たっていまいま直ぐに引き継げる相手がいない。引き継ぎ先(相手)の調整とその後の引き継ぎ期間で3ヶ月は留まって欲しいと言われている。
等々です。
もちろん会社が3ヶ月待ってくれと言ったからといってそうしなければならない義務はありませんので、転職先との都合が合わなければ最終的には、キッパリと、先方への入社日も決まっています。「○月○日には退職させていただきます。」と言い切ればいいです。但し、その場合は必ずしも”円満”な退職とはならない可能性もあるので十分に留意下さい。
④有休消化をしたいかどうか
そもそも退職時に有給休暇を取れるかどうか心配される方もいますが、これは「YES」です。退職時にも有給休暇は取得することができます。
年次有給休暇日数については最低限の付与日数は法でも定めれていますが、ここは企業によって様々かと思います。退職するにあたり、余っている有給を退職前に全て取得しきってからの退職を希望したい場合はその日数も考慮した上で最終的な退職・転職の目標とする日付を設定するのが良いです。
気をつけて頂きたいのは有休消化を行うことは、職場とのハレーションを起こす可能性があることです。取得希望の日数にもよりますが、退職を申し出る際には有休消化についても早めに申し出ることが望ましいです。
(参考)
私の会社では前年からの繰越も含めるとMAXで40日程度の年次有給休暇が付与されることになりますが、それを全て使われると丸2ヶ月有休消化で不在という位置付けになります。
シビアに人件費予算を立てているところであれば、少なくとも2ヶ月は人を入れられないということにもなりかねず、また、引き継ぎへの影響、職場全体へ与える影響等々から職場からは嫌がられます。
年次有給休暇消化は優先事項としない
後述しますが、転職においては自分の転職したいタイミングももちろんありますが、転職先の希望入社日も非常に重要です。
年次有給休暇の消化もしたいので、3ヶ月後の入社で良いでしょうか?なんてことは転職先が優しければ良いですが、すぐにても入社を期待している企業からするとそんな申し出をされた際には興醒めしてしまいます。
年次有給休暇消化中に転職先へ入社できるのか?
⑤転職市場における求人案件数(考慮不要!)
個人的には一番考慮すべき事項としてプライオリティが低いと考えます。
一般的に求人数が増えるタイミングは決まっており、
・1月~3月頃
・5月(GW明け)~6月頃
・8月(夏季休暇明け)~10月頃
です。求人数が多い≒希望の案件に出会える可能性も高い。それはそうですが、求人数が多い≒求職者数(ライバル)も多いということでもあるのです。
企業側が求人をかける理由は、企業内の人事異動・体制の変更・欠員募集等々色々あります。ただ、企業側も求職者の多い時期を狙って求人を出しているという逆の理屈もあります。
希望の案件に出会える可能性が高い、これがどの程度かもわかりませんし、通年通して求人は一定数ありますし、逆に前述のタイミング以外でオープンになる求人案件もあると考えると、それもまた”縁”です。
⑥転職先の希望入社日
色々鑑みて転職日のターゲットを定めて動き出すのも大切ですが、最後に一番関係してくるのは、転職活動を進めて内定となった際に、その会社から受けるリクエスト(希望入社日)です。
これを勘案しないわけにはいきません。選考段階や内定伝達のタイミングなどで先方(会社)として入社してもらいたい日付について言及があると考えます。
大体のケースでは、内定(オファー)があってから1ヶ月~2ヶ月以内の入社を求められることが多いです。具体的には、4月初旬に内定が出れば、5月1日付~6月1日付等です。もちろん…もっと早く!と希望を言ってくる会社もあるかもしれません。
転職先としても基本スタンスとしては出来るだけ早いタイミングでの入社を期待しています。この転職先の希望入社日をうまく調整できなかった場合、最悪のケースとして内定辞退と扱われる可能性もあります。
転職活動にて、「合格」となりましたら、いよいよ具体的な入社日付の調整も始まるでしょう。面接の中でも入社可能な日付について確認があるかとは思いますが、この時点では、大体のケースでまだ現職での退職申し出もしておらず正確な現職の退職日付・転職先へ[…]
転職を上手く進めるには転職エージェントの活用がお勧め
転職エージェントは沢山のケースを目にしてきていることから沢山のノウハウ(情報)を持っており、困った際には相談先として非常に心強い存在となります。
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まとめ(再掲)
会社を辞めるタイミング(退職日、転職日)の検討の際には、以下6つの観点から考えて見ては如何でしょうか。
・現職での賞与規則の確認(支給日・支給対象者)
・業務の引き継ぎにかかりそうな期間
・有給消化をしたいかどうか
・転職市場における求人案件数(考慮不要と考えます)
・転職先の希望入社日(想定)
これらのうち、何がプライオリティとして高そうかどうかを十分に考えた後に退職日(転職日)を決めるのが良いと考えます。
さいごに
つらつらと書きましたが、さいごに…残念ながら転職活動も予定通りに進むとは限りません。活動スタート時点で、スケジュールを綺麗に立てたとしても、思うように選考が進まなかったり、自社からの引き留めにあったり、転職先からの入社日が自分の希望(予想)と異なっていたり…キリがありません。
そのため、ここでの検討はあくまで、”想定”であり、不測の事態があり当初の自分が思い描いた通りにすすまなくなったとしてもそこは、受容して頂き、転職で実現したいことが叶えられそうかどうか、といった一番当初の目的に立ち返っていただければと思います。
転職日付のタイミング的に賞与が貰えないから内定先を辞退する、というような本末転倒な結論を出さないようにご留意いただければと思います。
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