最近では、産後パパ休暇が創設されたりと、国全体としてパパの育児参画を後押ししています。とはいっても実際のところ、育児休暇を取得しているパパはまだまだ少ないのではないかと考えます。こちらでは、育休を取得したいち経験者として、男性の育休についてご紹介をしたいと思います。
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そもそも育休(育児休暇)とは?
言葉は知っているし、よく聞くけど、実際のところ育児休暇ってなによ?という男性の方が実は多いのが実態ではないかと考えます。
これは、女性とは異なりやはり、育休を取得するということがなかなか自分ごとになりきれていないからこそとも考えます。さて、そもそも育休(育児休暇)とはどんなものなのかについてご紹介します。
これは、育児・介護休業法なるものがあり、その中で定められているものとなります。
ただし、企業によっては法律で定められている以上の育児休暇制度、例えば期間を長く取れることができたり、対象の子供の年齢を幅広く定めていたりすることもあります。
さて…そんな育児・介護休業法ですが、育児休業に関しては、原則的に1歳未満の子供を養育するための休業となります。
そして、これは法律で定められているのでたとえ企業の就業規則でそれらに関する規定がなくとも、申し出をすることで取得ができるものとなります。
男性の育休:育児休暇を取得した男性の率は?
育児休業取得率は、女性は8割台で推移している一方、男性は上昇傾向にあるものの女性に 比べ低い水準となっている(令和3年度:13.97%)。
引用:育児・介護休業法の改正について ~男性の育児休業取得促進等~
厚生労働省 雇用環境・均等局 職業生活両立課 より
と…圧倒的に少ない状態になります。政府目標としては令和7年(2025年)には30%をめざしている様子ですが、なかなか厳しい状態と考えます。
ただ、とはいってもみんながみんな育休という形で育児のための休暇をとるわけではない、年次有給休暇での取得等もありうると考えると実際に子供が生まれたあとに休みを取ったという人は相当数いるのではないかと考えます。
男性の育休:取得することのメリットは?
メリット① 父親としての自覚が出る
取る期間による部分もありますが、育児休暇をとることで自分自身にしっかりと父親としての自覚が出てくるのは大きなメリットのひとつと考えます。
周囲を見ていても、育休を取得した人としていない人ではその”自覚”に大きな差があるように感じます。
育休を取得した人はより家庭のことも顧みているように見えますし、逆に育休を取る気もなく仕事を中心にし続けている人はやはり仕事優先で子供が生まれた後も飲み会に、ゴルフに、趣味に…と子供ができる前と変わらないスタイルを貫いてるように見えます。
※あくまで個人の主観です。そうでない人ももちろんいます。
メリット② 子供との親子関係の構築
子供が何故か母親ばかりに懐く…子供が自分があやすと余計になく…なんて父親の話を聞くことも珍しくありません。むしろ、あるあるです。
さて、これが顕著なのはやはり、父親と子供との関わりが足りない部分が大きく影響していると考えます。
もちろん、どこまでいっても実のところは母親には敵わないのですが、それでも、父親として育児休暇中にしっかりと接することができれば、子供も父親に懐きますし、あやして余計に泣くなんてことも少なくなるでしょう。
メリット③ 配偶者との将来的な”仲”につながる
よく聞く話は…出産の立ち会いや出産後にいかに夫が協力的だったかは、死ぬまで言われる、ということです。
特に出産に立ち会わなかったことは死ぬまで根にもたれる…なんてよく聞きます。
それほど出産・育児は大変であるということに他ならないわけですが、しっかりと育児休暇を取得して家事・育児に参画することは将来的な夫婦仲にも良い影響を与えるでしょう。
メリット④ 段取り力が上がる!?
家事・育児をこなすというのは1日の中での朝食・昼食・夕食をポイントととしてその合間合間に掃除、洗濯、赤ん坊の沐浴、と様々なことをこなす必要があります。
これをワンオペでするとそれは目紛しい1日を毎日過ごすこととなります。まずは、朝は洗濯機を回す、洗濯機を回している間に朝食の準備を…子供が起きてきたら…なんて形で、家事・育児を効率的に回すためには”段取り””順番”が重要になってきます。
これを強く意識すると復職後に、業務処理スピードにも寄与しうると考えます。
メリット⑤ 周囲への好影響
悪影響の可能性もデメリットとして後述はするのですが、好影響になる、ということも十分に考えられます。
育休を取得した”あなた”を見て、後輩男性もゆくゆくは自分もとるぞ!という気持ちになったり、もしかしたら、他の部署の人がそう思ったり…と、男性の育休取得事例として周囲に良い影響を与えることも考えられます。
「育休が取得できる」=「良い職場環境」とも言えます。
企業としても、男性の育休を外部にPRすることでいかに自社が社員をサポートしているかということを示すこともできて、企業ブランド向上にすら寄与する可能性があります。
男性の育休:取得することのデメリットは?
デメリット① 長期の育休は昇進(キャリアアップ)に影響がある可能性
1週間、2週間程度であれば昇進に大きな影響はないかと考えますが、これが1ヶ月・2ヶ月…半年と長くなればなるほど当然、昇進にも影響を与える可能性があります。
非常に単純化してしまえば、1年育休をとればその分昇進も1年遅れる可能性があるということになります。
企業によっては昇進に当たっては昇進試験などが設けられていて、それをパスしないと昇進できない、なんてこともあるでしょう。こうなると育休を取得していることでその機会も逃すことになり、昇進が同期と比べ遅れる可能性が出てきます。
逆の言い方をすると、育休を取得していない同期は1年分より多く業務に従事し、その分多くの経験を積み・スキルを身に付けているだろうとも言えます。
デメリット② 育児休暇期間中の収入減少
育児休暇期間中の収入の減少は極めて直接的なデメリットのひとつであると考えます。基本的に、育児休暇期間中は給与が支給されません。
では、収入がゼロになるのか!?と言われるとそうではありません。育児休業給付金というものがあり、100%では無いものの休業前の給与をベースに67%なり50%が給付されます。
実際にどの程ど減るのか…は計算をしてみることをお勧めします、育休を取らずにフルタイムで働いていれば社会保険の支払いなどもあるので、実質的に、”手取り”としては、休業前も休業中の給付金と水準がほとんどかわらなかった、なんて話も聞いたことがあります。
デメリット③ 周囲への悪影響の可能性・周囲からの不満
そんなことは本来あってはならないですし、あって欲しくないことでもあります。
そして、こんなことを気にしていたら育休は取得できないのも事実です。しかしながら…面と向かって表には出さないものの育休取得をする男性を冷ややかな目で見ていたり、内心面白く思っていない同僚などもいるのではないかと考えられます。
育休がもし、業務上の繁忙期に当たるような場合、”あなた”の休暇が周囲への負担増にも直結し、周りから不満を抱かれる可能性も当然あり得ます。
”あなた”の育休が悪影響をあたえるような要素が極めて多い場合、復帰後の人間関係にも悪影響を及ぼす可能性もあります。
しかしながら、持ちつ持たれつとも言います、日頃からしっかりとメンバと信頼関係を築くことができていればこのようなことは心配無用でしょう。
デメリット④ 自身の育児・家事への参画度合いによっては夫婦仲の悪化も…
デメリットとしてあげるまでのことでもないかもしれませんが、育休を取った夫が全く家事・育児を手伝わない!全くと言わないまでも、ほとんど手伝ってくれない、少ししかしてくれない、と妻の期待を大きく下回る水準の参画しかしない、なんて話もあります。この様な場合は、夫婦仲に亀裂が入りかねません。
特に、産後には”ガルガル期”と呼ばれるホルモンバランスの変化による精神的に不安定な状態があります。
些細なことでもイライラ・カリカリしてしまう様な状態になります。この様な状態において、夫(”あなた”)が妻の期待に添えない所が、妻に余計な負担をかけようものなら…大変な事態になる可能性も否めません。
男性の育休:取得する期間の目安・考え方
まず、配偶者(夫)として考える観点は大きく以下の3つになるかと考えます。それは、配偶者の状況・状態と生まれてきた子供の状況・状態、そして、最後に業務の状況・状態です。
育児休業の取得期間は、女性は9割以上が6か月以上となっている一方、男性は約5割が2週間未満となっており、依然として短期間の取得が中心となっているが、男性の「1か月~3か月未満」の取得は 24.5%で、3番目に多い取得期間となっている。
引用:育児・介護休業法の改正について ~男性の育児休業取得促進等~
厚生労働省 雇用環境・均等局 職業生活両立課 より
その① 配偶者の体調の回復度合いから考える
産後の1週間
そもそも、産後1週間はまだ入院している時期とも考えます。
そのためまさか、入院中に育休をわざわざ1週間取る人もいないのではと考えますが、この1週間は、出産後の後陣痛があったり、術後の痛みがまだまだあり痛み止めを服薬してたりと、まだまだ回復とは程遠い1週間です。身体の回復がまだまだなのはもちろんですが、マタニティブルー(産後の一時的な情緒不安定)になる人もいます。
産後の2週間
実は産後2週間、まだまだ多くの配偶者(奥さん)は出産時の痛みが残っている状態です。
帝王切開をしたお腹の痛みはもちろん、会陰切開をしていればその痛みもまだ残っていることでしょう。そういった観点から言うと、出産後の入院1週間の後の、退院後の1週間の育休はある種必要最低限と言えるかもしれません。
マタニティブルーから回復してくるのもおおよそ、この2週間辺りとも言われています。
産後の4週間(1ヶ月)
産後1ヶ月検診が行われるのがこの産後1ヶ月でもあります。
ここで医師から特別以上なし、と判断されれば母体の回復も順調ということになります。異常がなければ、徐々にふつうの生活に戻っていくこととなります。外出も以前の様にできる様になってきたりもします。
産後の6週間(1.5ヶ月)
もし、配偶者(奥さん)が帝王切開での出産であった場合、そのお腹の傷が治ってくるのにかかるのが約6週間と言われています。
もちろん、個人差があるので”約”です。しかも、安静にして回復に注力しての6週間です。配偶者の体調回復の度合いから考えた際に6週間は育休をとり、夫として父親として育児・家事にフルコミットして、配偶者を休ませることが出来れば、この6週間はとても有意義なものになると考えます。
と…この様に見ていくと、実は少し多めに見積もって2ヶ月育休、なんてのは極めてリーズナブルな気もしてきます。しかし、一方でそんなに休めない…なんて状況の方は、最低限、退院後の1週間は休む!なんて決断もあるのではないかと考えます。
その② 子供の成長目安から考える
生後0ヶ月
基本的に1日のほとんどを寝て過ごしているのがこの0ヶ月の時期です。
このころは昼夜の区別がなく、大体2~3時間くらいのサイクルで目を覚まして、ミルクなり母乳を飲んでは寝て…を繰り返す時期です。オムツも頻繁に変えなければならず、産後の配偶者にとっても新生児の世話がとても大変と考えます。
生後1ヶ月
抱っこしている人の顔をじーっと見つめるようになってきます。
だんだんとふっくらとしてきて、より”赤ちゃん”らしくなってきているかもしれません。配偶者も1ヶ月検診がある頃です。この頃になるとベビーバスも卒業して一緒にお風呂にも入れるようになってきます。
また、外に一緒に出れるようになってくるのもこの頃です。
生後2ヶ月
「あー」「うー」と声を出すようになってくるのがこの2ヶ月頃です。
手足もバタバタとより多く動くようになってきます。腹ばいにすると首を持ち上げるような仕草をしたりと、筋肉も少しづつついてく様子が見えてきます。
生後3ヶ月
”首がすわる”時期が大体この頃です。自分で自分の頭を支えられるようになるということです。
首がすわると、タテに抱っこができる様になるので、子供の相手・世話がある種格段に楽になる面もあります。3ヶ月健診なんて言われる、発達の確認のための健診も行われます。
と…赤ん坊の成長はとても早いスピードです。とはいっても…育休と考えた時に、そんなに半年も、1年も休めないな…という方も多いかもしれません。そうなると、子供の成長目安も大切ですが、配偶者の様子の方が優先度は高いかもしれません、
その③ 業務状況等から考える
今の生活があるのはやはり仕事があるからこそ、という側面も踏まえて業務状況から考えるという観点もなくせないと考えます。
職種によっても繁忙期、閑散期は当然あるものと考えます。いつだったらどの程度自分がいなくても大丈夫そうか?と考えてみることも大切です。
配偶者からすると産後・退院後にあわせて育休を取得してくれることが理想と考えますが、業務状況も踏まえ、時期をずらして育休をその分長く取るということもありえるのではないかと考えます。
もちろん、退院後というのは非常に配偶者にも負担がかかる時期でもあるので、その時期は、自身なり配偶者の親の助けを借りて乗り切るなどをして、うまく調整を図るということも考える必要があります。
その他 家計から考える
場合によっては家計を中心に考える必要もあるでしょう。
育児休職をするなれば、当然その間の収入は減ることになります。ただでさえ、出産、そして、ベビー用品等々出費がかさむのも事実です。
経済状況的に育休をとっているような場合ではない、なんて方もいるでしょう。そのような場合は、よくよく配偶者とも相談の上、”育休”は見送るというのも選択肢と考えます。
しかしながら、年次有給休暇を何日か連続で取る等別の方法で休みを取るということもできないわけではありません。会社の制度を今一度確認していただき、どのような対応が出来そうかを洗い直してるのも大事です。
別の観点で、育児休業給付金が出る期間は育休を取得しても良いかも!?という考えを持てる方もいるでしょう。給付金は給与の67%(または50%)となります。詳細は厚生労働省のサイトからご確認下さい。
男性の育休:取得した筆者の体験談
まず、私は育児休暇として2ヶ月の期間をとりました。この「2ヶ月」は考えに考えて色々なことを勘案して総合的に下した数字となります。
ただ、正直、ひと昔の自分では自分が育児休暇をとることになるなんてまったく想像もしていませんでした。
なぜなら、これまで一緒に仕事をしてきた上司・先輩が育児休暇をとった、なんて話はせいぜい1週間・2週間程度の話で、下手したらそんなもの取ったことない、なんて方も多くいました。
そして、1ヶ月・2ヶ月もとったなんて話は聞いたことがなかったためです。
ただ、結局最終的には2ヶ月を取りました。大きくポイントとなったのは以下の3点です。
知っている人が取得していたので安心感があった
ただ、時代は変わってきたのか自分の周辺でも若手の男性社員が育休をとった、なんて話もちらほら聞く様になってきました。
そして、その期間が大体、1ヶ月~2ヶ月程度という話をよく耳にしました。そこも、2ヶ月に踏み切った大きなポイントの一つとなりました。
上の子の存在も育休取得の必要性を意識させた
他にも大きなポイントとしてはすでに第1子がいたということもあります。ちなみに、第1子の時は1週間の有休をもらいました。
ただ、この第2子となると、すでに上に2、3歳の手のかかる子がいる上での0歳児となるので、流石に任せきりにすることは出来ない、するべきでない、しっかり自分も一定期間はフルでコミットしたいと思うに至ったというのも、もう一つの大きなポイントです。
自身・相手の親(祖父母)の助けが得られない状況だった
育休をとるとらない、どの程度取るの判断にもうひとつ大きな影響を与えたのは、周囲から得られる助けがどの程度あるか、でした。
今の住まいが自身の実家からも相手の実家からも遠いところであり、そうそう簡単に気軽に助けを得られる様な状態ではありませんでした。妻との話し合いでも、里帰り出産はなし、ということにもしていましたので、自分たちでなんとかするしかない、という意識もありました。
親を頼らず、自分たちだけで、となったらもう自分が育休を数ヶ月単位で取るしかないな、という決意にもつながりました。
取って良かった2ヶ月の育休
結果的に、2ヶ月は非常に有意義な育休となりました。最初の1ヶ月こそ、配偶者のケアも含めてでしたが、特に2ヶ月目は配偶者の体調も回復し、父親としてむしろ上の子(第一子)を普段出来ない遠出に連れて行ってあげたりと、下の子(第二子)のみならずに育児をできたということはとても良い思い出ともなりました。
さいごに
さて…男性の育休について、いち体験者としていち人事としての見解をご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
これから取得しようとしている皆様の一助に少しでもなれたら幸いです。出産という大仕事を終えた配偶者(妻)を労ってあげることは、自分(”あなた”)にしか出来ないことです。
仕事も大切ではありますが、このタイミングは仕事を優先するのではなく、配偶者(妻)と子供を少しでも優先して、多角的に考え、なんとか少しでも多くの休みを取得して家事・育児に参画していただくことをおすすめします。
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