キャリア|管理職になって年収が下がる!?なぜ?どうして?

「そんな話があるのか?」と思われる方、「いやいや、実際今自分が直面しているんだよ」なんて方、いらっしゃるかと思います。管理職になって年収が下がる、なんてことは通常はあり得ないのですが、ケースとして起こらないケースではありません。

こちらでは、これまで3社であわせて十数年の人事業務を行ってきたいち人事として、この「管理職になって年収が下がる件」について、何故なのか、どうしたら上がるのか等についてご紹介をしていきたいと思います。

※管理職=管理監督者という位置付けで話を致します。

管理職なって年収が下がる!?そもそも管理職と非管理職って?

違いはどことなく分かっている方が多いのではないかと考えますが、ご紹介させていただきます。ここで、インプットしていただきたいのは、「管理監督者」という立場についてです。管理職と非管理職を語るにあたって、この「管理監督者」の前提を理解しておくことは必要不可欠となります。

管理職・非管理職(一般職)・そして「管理監督者」って?

管理職とは

企業内なり、組織内において一定のチームを率いる人のことをさします。チームを管理する人という幅広い意味で使われていることがあります。業務全体の進捗を管理したり、メンバへ指示・指導をしたりする立場の人です。

ただ、企業によって、管理職が必ずしも管理監督者ではなかったり、管理職は管理監督者と同義で取り扱っていることもあり、指す意味はそれぞれとなります。また、「管理職=部下がいる」と解釈する方も多くいるかもしれませんが、所謂「部下なし管理職」もいます。確かに”一定のチームを率いる”とご紹介しましたが、一定の業務において裁量と責任・権限があれば部下がいなくとも管理職(管理監督者)として取り扱うケースもあります。

非管理職(一般職)とは

企業内なり、組織内においてその管理職が率いるチームのメンバとして活躍する人が非管理職です。チームで業務をする人もいれば、個人プレーで仕事をする人もいるでしょう。基本的には、管理職からの指示や指導を受けながら仕事を進める立場の人のことを言います。

こちらも企業によりその捉え方は様々ですが、例えば…「係長」、係長がたとえチームを纏めていても、後述する職務内容や責任と権限、勤務態様、賃金なども絡みそれぞれの企業で、係長は非管理職、係長は管理職だが管理監督者ではない、係長は管理職かつ管理監督者である、ということを決めていることとなります。

管理監督者とは

労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けません。

・労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動をせざるを得ない重要な職務内容を有していること
・労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること
・現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること
・賃金等について、その地位に相応しい待遇がなされていること

厚生労働省 都道府県労働局 労働基準監督署
労働基準法における管理監督者の範囲適正化のために より引用

つまり、どう言うこと?と思われるかもしれませんが、人材の採用・解雇・人事効果・労働時間管理に責任と権限を有していることや、具体的な労働時間に関して指示を受けず自身の裁量を持って進められるや、基本給・役職手当等で明確な優遇がある等になります。

管理職になって年収が下がる!?なぜ?どうして?

ケース① 管理職と非管理職では手当に差がある可能性

会社には様々な給与・手当に関する規則があるかと思いますが、これらは法律に反しない限りは企業が自由に決められることが出来ます。そのため、企業によっては管理職と非管理職で対象となる手当が異なることがあります。非管理職ではもらえていた手当が管理職になったら対象外になる、なんてことは珍しくありません。

例えば…いち人事として知る限り、企業によっては、家族手当・住宅補助等が非管理職にはあるが、管理職にはない、なんてところがあります。但し、通常は会社としてその手当がなくなっても管理職になるメリットがあるだけの”差”をつけた給与体系になっているとは考えられます。

ただ、それにも関わらず、これが年収が下がることにつながるリスクをはらんでいるのは、人によっては企業が想定しているモデルよりも多くの手当を受けている場合があるためです。

ケース② 残業代の支給対象外となるため

管理職(管理監督者)になると、時間管理を受けない存在となり、残業代の支給対象外となります。非管理職の頃は、「今月は○○時間残業したから、残業代は…」なんて計算をしたこともある方が多いのではないかと思いますが、そんな残業代が、どれだけ働いてもなくなります。

当然、こちらも本来はそこまでも加味して、非管理職と管理職の給与に差をつけてはいるのですが、手当同様、残業が多ければ多いほど、管理職になったことでの昇給メリットを感じることは少なくなりますし、場合によっては逆転してしまうケースもあります。

いち個人としても係長時代に残業を多くしていた頃は、課長の基本給よりも毎月多い給料を受け取っていた時期があります。

ケース③ 時間外労働の増加により時間あたりの給与が下がる可能性

見た目の年収は上がっても、実質的な給料が下がる可能性があります。それがこの、時間外労働の増加に伴った、時間あたり給与が下がる可能性です。管理職になって時間外労働が減った!なんてことももちろん往々にしてあるのですが、逆に増えるケースも多くあります。

管理職という立場上、やはり多くの責任が伴います。管理職になりたくない、理由のひとつにあげられるくらい、「管理職の方が忙しい」と考えている人も多いですし、実際にそのような会社もあります。こうなると、給料は上がっても実質的な”時給”が下がる可能性もあります。

例えば…非管理職(係長・年収600万)、管理職(課長・年収770万円)を比べると、年間労働時間を1920時間と仮定した場合、1時間あたりの給与は非管理職(係長・年収600万)は3125円、管理職(年収770万円)は4010円となります。管理職になったことで月あたりの時間外労働がもし45時間増えた場合、時間あたりの賃金は逆転することになります。

※時間外労働における割増賃金率は無視しています。

ケース④ 会社業績・個人業績の兼ね合いで賞与が下がる可能性

え!?賞与も下がる可能性があるの?と思うかもしれません。もちろんケースバイケースですが企業によっては下がる可能性があります。もちろん、賞与の計算ロジックによるところではあります。これは、経営に近い層であればあるほど会社の業績に責任があり、業績が悪かった際にはその責任をとる、という考え方から企業業績が悪かった際にその影響を多く受ける可能性があるためです。また、個人の成果も非管理職時代よりも管理職の方が職責も増え、これまでと同じように高い個人評価を得られず”普通”評価になる可能性もあります。

さて、こうなると、非管理職で期待を大きく超える優秀な成績を残していた人が、管理職になり期待通りの通常の成果を出していた、そして、会社の業績が悪かった…なんて場合、トータルでの賞与額が減ってしまう可能性があります。賞与がどのように構成されているかは会社次第ですが、単純化すると、以下です。

例)
非管理職賞与額:130
(内訳:基準額100+個人業績反映額30+会社業績反映額0)
管理職賞与額 :120
(内訳:基準額150+個人業績反映額 0+会社業績反映額-30)

この例の様に、会社業績が悪かった場合に、個人評価が優秀な非管理職賞与の方が、管理職の通常評価時の際の賞与よりも多く受け取るケースがあります。(繰り返しになりますが、企業の制度設計によりますので、一概には言えません。このような逆転が起こらないように制度を設計しているところもあります。)

管理職になって年収が下がる!?どうしたら上がる?

管理職になって特に下がったと感じるのは初年度(1年目)なのではないかと考えます。なぜならどうしても去年の年収と比べてしまいがちになるのと、初年度は管理職1年目ということで上司も様子を見ている場合があり賞与評価がいきなり高い評価がつきづらかったりもするためです。さて…年収が下がってしまった、そんな場合どうしたら上がるのかについてココではご紹介します。

その① 成果をだし評価を上げる(昇給・賞与額)

まず一つ目はやはり、成果を出して評価を上げることです。多くの企業で昇給・賞与において良い成果を出し良い評価を得られれば通常以上の昇給額や賞与額がもらえる制度になっていると考えます。これが、こと”管理職”でとなると、非管理職の頃と比べて、昇給額の幅がよりあがったり、賞与評価についても一段階変わるだけで非管理職の時以上の額が上乗せされることが期待できます。そのため、管理職というポジションで成果を出すことで今まで以上に収入が上がっていくことが期待出来ます。

その② 更なる昇進をする

管理職(課長)になったということはそれだけ期待をされているということになります。その次のステージへ上がっていける可能性も十分にあります。つまり、課長から部長、部長から本部長と更なる昇進をしていくことで将来的に大きく年収を上げていける可能性があります。もちろんそのハードルは高いと考えますが、職位が上がれば上がるほどその報酬も高くなる傾向にありますので、その価値は十分にあります。

その③ 生産性をあげ時間あたりの給料を上げる

これまでご紹介してきた通り、管理職は”裁量”があります。うまく業務・プロジェクトをまわすことで理想的には定時での勤務が叶う可能性もあります。これはこれまで残業があった人からすると、総収入という観点では減っていたとしても、時間あたりの給料は上がった!と言い切れる状態になれば、それは年収が上がったことと同義と考えます。

管理職になって年収が下がった!年収を上げるには転職もあり!

そんなことを言っても、現実うまく行きそうにない…年収は下がったし、やりがいもなくなった…なんて感じている場合は、転職しかありません。もちろん、選択肢として上司なり企業に、管理職から非管理職に戻してもらうなんてこともありえるかもしれませんが、通常それはデメリットが多くあると考えます。そのような場合、それこそ今後のその企業に居続ける際にキャリアをどうしていくのかよくよく考える必要が出てきます。

さて、管理職の転職はそれはそれでハードルが高いのは確かですが、管理職になったその良さは、管理職から管理職への転職が可能になるという点です。非管理職から管理職への転職は更なるハードルがあります。(私は結果的に非管理職から管理職への転職を果たしましたが、実際、非管理職から管理職への転職についてエージェントに相談した際には、やはり最初は難色を示されました。)

さて…私自身が使っておすすめできるエージェントは以下の3つです。それぞれのアドバイザーと話をしてどれを軸に使っていくか、どれをサブに使っていくかという観点で一度面談(情報収集)をしてみるのがおすすめです。

【リクルートエージェント】私はリクルートエージェントを通して転職しました!
業界最大級の求人案件数を誇っております。転職活動の際にエージェントを複数活用するのであればその1社は間違いなくリクルートエージェントにするべきです。(私の会社でも活用しており、担当者・アドバイザーの方の”良さ”は十分にわかっており非常におすすめです。)

キャリアアドバイザーの親身で丁寧なサポート【パソナキャリア】過去に私も相談しました!
謳い文句の通り、非常に親身で丁寧なサポートをしてくださるエージェントです。(こちらも私の会社でも活用しております。企業担当の方も非常に丁寧です。)

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20代の若手でしたらマイナビもおすすめです。私自身は中途採用では関わったことはありませんが、新卒採用でのノウハウもあり、若手向けにはおすすめ出来ると考えます。

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管理職になって年収が下がる!?いち人事の経験談

※特定を避けるため、一部改変をしております点お含みおきください※

実際に年収が下がったケースを見たことはあります。会社ではご存知の通り、定期的に人事異動や組織変更の議論が行われています。日本の会社ですと、大体4月頃に向けて12月・1月くらいから経営層と会話が行われたりします。その際に、管理職への昇格の提案も一緒に議論がされたりもします。

当時、職場におけるAさん(53歳)を係長から課長への昇進をさせる提案がありました。Aさんは高校卒で入社をした方で勤続年数も長く、社内の様々な部署とも繋がりがあり膨大な仕事をこなすハードワーカーでもありました。

そんな、Aさんの昇格話はAさんが40代後半の頃から実は出ては消え出ては消えをしていました。それはひとえに、Aさんの”マネジメント力への疑義”と”ポスト”の2点が主な問題でした、さて…ここではその2点について掘り下げませんが、そのような問題はありつつも、Aさんの部門責任者たっての強い要望により経営会議でAさんの管理職昇格が決定しました。

やっと本題ですが、昇格が決まり本人への説明資料を…その際に気づいてしまいました。なんと、Aさんの年収がほとんど変わらない、むしろ少し下がることに…

原因は…前述でご紹介した”下がるケース”がいくつも重なっていたことによります

原因①
Aさんは勤続年数も長く非管理職において一番高い給与等級におりその中でももはや給与が上限にはりついてしまっていた。
原因②
Aさんは任されている業務が多く36協定ギリギリの限界まで働いており、多額の残業代を毎月受け取っていた。(毎月20万円程度)
原因③
Aさんは当然成果も多く出しており、ボーナスの査定結果も常に高い評価を得ていた。つまり…ボーナスの評価での加算額が多かった。
原因④ 
Aさんは家族手当(4人分)を受け取っていたが、管理職には家族手当がなかった。(もちろん管理職の基本給は十分に高く設定はされてはいましたが…。家族手当4人は”多い”部類に入ります。)

基本給は40万円から60万円に、賞与額の基準額も100万円から150万円にあがり、残業代や手当を除いた年収は、680万円から1020万円へと400万円近く増加したのですが。

実際の額、残業代・賞与評価・手当も含めた現年収と、昇格後の年収を比べると…

■昇進前■
月給:(基本給(40)+残業代(20)+家族手当(4))×12ヶ月=768万円
賞与:(基準額(100)+個人成果評価額(30))×2回=260万円
年収:1028万円■昇進後■
月給:基本給60万円×12ヶ月=720万円
賞与:基準額150万円×2回=300万円
年収:1020万円

と、なんと約10万円下がってしまったのです。これはそこまでを勘案して作られていなかった、会社の給与制度設計にも問題はあるのかもしれませんが、そのようなケースもあるということで、ご紹介です。

結局、Aさんは昇進を受けてくれたのか…ですが、以下3点を持って理解いただきました。

・そもそも残業代は水物であるため、管理職としてうまくチームをコントロールして自身の時間外労働も削減し、時間あたりの給与を上げることで収入もあがったことになる。
・賞与は基準額にさらに成果額が加わって増える期待ができること。
・今はもう非管理職として給与が頭打ちだが、今後毎年昇給可能性があること。

これからのことから、いずれ昇進前の年収を超えるであろうということでAさんには納得をしてもらいました。

さいごに

管理職になって責任も増えて、残業も増えて大変になったのに年収が下がるなんて…とても理不尽に感じますね。しかし、ないわけではありません。確かに目の前のことを考えるとその年収減は大きな痛手でではありますが、キャリア的に見た際には”管理職”を担った、その経験をしている、そこで成果を出している、得たものがあるということはとても良いことです。そこから得たものを”糧”として次のキャリアをめざしていっていただくのが良いと考えます。

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