TOEICは日本国内では英語力をはかる物差しの一つとして多くの企業で使われています。そのため、転職活動や新卒での就職活動においても要件・資格のひとつとしてTOEICのスコア(点数)が求められていることも多いです。特に転職であれば明確にTOEIC600以上、700以上と応募要件に明示されていることも珍しくありません。さて、そんなTOEICのスコアですが、求められている要件に少し足りていなかったり、点数は足りていないけどどうしても選考を受けたい、などの思いから、TOEICのスコアを少し盛ったり、偽ったものを記載しても…と思う方もいるかもしれません。ここでは、もし、そうした場合のバレるのかどうなのか?偽ることのリスク・デメリットについていち人事としてご紹介します。
【前提知識】TOEICスコア別の定義・属性別TOEIC平均点等
スコア別定義
Aレベル 860以上:Non-nativeとして十分なコミュニケーションが出来る
Bレベル 730以上:どんな状況でも適切なコミュニケーションが出来る素地を備えている。
Cレベル 470以上:日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションが出来る。
Dレベル 220以上:通常会話で最低限のコミュニケーションが出来る。
Eレベル :コミュニケーションが出来るまでに至っていない。
一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 PROFICIENCY SCALE
TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表より
https://www.iibc-global.org/library/default/toeic/official_data/lr/pdf/proficiency.pdf
属性別(TOEIC公開テスト平均)
社会人:約610点
学生 :約560点
全体 :約585点
TOEICスコアを偽ったらバレるのか?
色々な企業の人事や転職エージェント等からも話を聞きますが、TOEICのスコア証明書をエビデンスとして求めてくる企業はあまりありません。そのため、履歴書・職務経歴書に記載したTOEICスコア、面接で伝えたTOEICスコアが”嘘”であるということが選考中にバレることはほぼありません。
また、昔のTOEICスコアであればスコアレポート・公式認定証の再発行もできないため、基本的には本人申告ベースとなります。そのため、昔に受けたTOEICを多少盛る程度であればさらにバレる可能性は低いでしょう。(例:3年前に受けたTOEIC680を、面接の場で「昔に受けた時は700程度でした!」というのは許容範囲かと考えます。)
TOEICスコアの嘘がバレるケース
ほぼバレないと言っても当然証拠はなくともバレるケースはあります。
証明書の提出を求められて発覚するケース
TOEICのスコアレポート、公式認定証は、
公式認定証:試験日から2年間以内のものに限り再発行が可能
となっております。
そのため、TOEICの取得日が2年以内の場合、企業から証明書の提示を求められるケースがあります。選考中に求められなくとも、内定後に各種証明・確認ということで、
・大学(院)成績証明書
・TOEICスコアレポートor公式認定証
・その他履歴書記載の資格取得を証明出来るもの 等々
を求められることがあります。
いち人事としても、経験者採用のケースでも大学の卒業証明書等を内定後に求めています。
英語のテストを受けさせられて発覚するケース
新卒では当たり前のように受けさせられる”適性検査”ですが、経験者にも同種の”適性検査”を受けてもらうこともあります。そのため、経験者か新卒に関わらず、この”適性検査”の中にある英語試験結果と、申告されているTOEICのスコアの乖離が大きいと、「TOEICが虚偽」または「適性検査を真面目に受けていないのでは」といずれにしてもネガティブなビットを人事としては立てます。
”バレる”訳ではありませんが、事実上バレるないし疑われると考えた方が良いです。
企業としては、本当かどうかわからない履歴書に書かれたTOEICのスコアよりも、自社が受けさせた適性検査の結果の英語力の方を信頼すると考えます。(もし、本当のスコアなのに疑われるのは不本意という場合は証明書を添付しても良いと考えます。)
突然の英語での面接・抜き打ちテストでバレるケース
企業によっては、面接官によっては事前のお知らせも何もないまま突然の英語試験やちょっとした英語面接をすることもあります。
いち人事として私自身、遭遇したことがありますが面接官が突然…
・(もってきた紙を渡して)5分程度でこのメール(日本語文)を英語に訳してください。
・(もってきた紙を渡して)このシチュエーションであなたが考える相手への必要な連絡事項を英語で書いてください。 等々
なんていうこともあったりします。仕事上、英語が必須でビジネス上の英語力は絶対に担保したいと企業が強く思っている場合にこのような面接・テストが抜き打ち的に行われる可能性があるということを頭の片隅にでも置いて置いてください。そうなると、TOEICのスコアの偽りは当然バレるでしょうし、例え本当だったとしても、TOEICスコアは高いが仕事では直ぐに使えるレベルではない、との判断をされてしまうでしょう。
入社後のTOEIC受験での発覚するケース
企業によっては、1年に1回や2年に1回等で継続的な従業員の英語力向上のために、社内でのTOEIC(TOEIC IP)を受験させる企業もあります。昇進の条件としてTOEICを必要としている企業もあります。
そのため、履歴書に記載したスコアと入社後のスコアの乖離が大きいと、選考時の申告が「虚偽」であったと見られるでしょう。
※特に新卒入社の場合は入社後、1年目に社内でのTOEIC受験が必須となっているケースも珍しくありません。
TOEICスコアを偽ることでありうるリスク
TOEICスコアの虚偽申告・記載はバレたら内定取り消し・懲戒になる
「採用にあたり提出した書類に虚偽があったとき、採用を取り消されても異存はありません。」
と採用内定承諾書などに記載があるかと思います、これに署名をして内定承諾をしたと企業-”あなた”間で取り交わされるわですが、つまり、TOEICの虚偽申告がバレた場合は内定取り消し、入社後であっても最悪懲戒解雇になり得るということです。そこまでのリスクをとって”盛る”必要があるかと言われるとないと考えます。
”英語”が必要な業務アサイン・業務についていけない
TOEICスコアが高い≒英語が出来ると企業からは判断されます。
そのため、新卒であれば配属や業務アサイン、転職も業務アサインの際に”英語”が必要な業務を割り当てられる可能性が高くなります。
そこで、実際に英語が使えない場合…業務についていけないのはもちろんで、会社からの評価も下がり、「あいつは英語が出来るから採用したのに…」となり信用もなくなります。何よりも、仕事で十分な成果が出せず、周囲からもそのような目で見られる”あなた”自身が一番辛くなると考えますので、TOEICの点数について嘘をつくことはおすすめしません。
TOEICは英語力を測る手段のひとつ、英語力をアピールする方法はTOEICだけではない
自分の完全に実力を超えている虚偽は極めて悪質ですし、”あなた”自身にもためにならないので絶対にやめましょう。とは言っても、自分をよりよく見せたいというのは人間として当然ですし、選考はアピールの場でもあります。TOEICは”数字”なのでその”数字”について異なる数値を申告するというのは当然虚偽に当たりますが、”英語が出来るんです!”ということは存分にアピールしていただいて問題ありません。
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TOEICが足りない人はエージェントを活用しましょう
大企業の求人や、大企業でなくとも魅力的なポジションには応募者(ライバル)が多く存在しています。1名しか採用しないポジションに多くの応募があれば、企業側としては全員に会うことはせずにある程度は書類選考で不合格とします。極端なケースでは、”必須要件”に達しているかどうかだけで落とされる可能性もあります。この場合、有効なのはエージェントに”あなた”をしっかりと評価してもらい、エージェントから推薦をしてもらうことです。
エージェント・企業のやりとりイメージ
とこんな感じです。こうエージェントから直接言われると、いち人事としてしっかりと履歴書・職務経歴書に目を通した上で判断するか、という気持ちにもなります。
いち人事担当者として、この後合否に関わらずエージェントからはその合否理由の詳細をヒアリングされますので、答えられるだけの精査をしなければ、という思いもあります。
こうなると、転職サイト経由であればTOEICスコア不足でドライに不合格にされていたかもしれない候補者が、エージェントのフォローアップでまずは一旦会ってみるかという結論になる可能性もあり得ます。
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さいごに
「嘘はつかない」これにつきます。自分からすると些細な嘘であっても発覚したら最悪懲戒解雇になりかねません。ただ、英語力のアピールをする方法はTOEICの点数だけではありませんので、そこにも目を向けてみましょう。もし、逆に、TOEIC以外で英語力をPR出来る方法がない方はTOEIC今一度しっかりと対策をして受けてみましょう!
ご参考
学習には書籍ももちろん良いですし、最近ではスマホでも出来る英語学習もだいぶ一般化してきました。
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