子会社への出向からのそのまま転籍(転属)は拒否出来るのか?リスク・デメリットは?

転籍も人事異動の事象のひとつではありますが、会社生活のなかで聞いたり目にすることはあっても配置転換、出向等と比べてなかなか起きない人事異動の一種かと考えます。

出向に行った人がそのまま転籍になった。なんて話はよく聞く部類かもしれません。さて、ここではその「転籍」について拒否できるのかどうか、また拒否した際に考えうるデメリットとリスクについていち人事の見解を述べたいと思います。

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転籍とは

ここで言う、転籍とは現在所属している雇用契約を結んでいる企業、その企業との雇用契約を解消し、新たな別の企業と雇用契約を結び直すこととなります。

企業によっては、「転籍」のことを「転属」と呼んでいるケースもあります。

個別の事象ではグループ会社(親会社・子会社・兄弟会社)間で起こることがありますが、会社間における事業譲渡等に伴う転籍もあります。

いち人事としてのコメント

いち人事として良く見る転籍の起こるケースは、先方企業への出向を1年なり数年挟んでからの転籍です。いきなり、転籍をさせるケースもありますが、大体のケースではソフトランディング的にまずは出向から始めて本人、出向先の感触を確かめた上で転籍を本人にオファーするというスタイルです。

在籍出向と転籍出向の違い

出向は現在の所属している企業との雇用関係は継続したまま、他社で就業することを意味します。それに対して転籍はそもそもの雇用契約を結ぶ企業が変わるため、大きく異なる事象となります。

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転籍によって起こること

その1:現在の会社退職

「転籍とは」でご紹介した通り、転籍に応じると現在の会社との雇用関係を解消する必要が出てきます。つまり、退職をすることとなります。

尚、この転籍が会社主導によって行われている際は自己都合による退職ではなく、会社都合による退職扱いとなるケースがほとんどかと考えます。

その2:退職金の支給

所属している会社を退職することになりますので、その際は一般的に「退職金」が支給されるケースが多いです。

ケースによっては、退職金は支給されずに、転籍先企業へ引き継がれ転籍先企業を退職する際にまとめて支払われることもあります。

引き継がれるケースの一例としてよく聞くのは、同一退職金制度を持っているグループ会社間での転籍などの場合です。

その3:先方会社への再就職

在籍していた会社での退職後はすみやかに転籍先会社との労働契約の締結がされます。これは、”あなた”が転籍先会社との労働契約を結ぶということになります。

その4:先方会社の就業規則に準じた勤務(労働条件の変更)

転籍=転籍先企業と雇用関係を結びその会社の社員となる、ということになります。そうなると必然的に各種規則は転籍先のものに基づくこととなります。

そのため、給与、就業時間、年間の就業日(休日休暇)、年次有給休暇日数、福利厚生、その他諸々の規則に関して取り扱いが変わる可能性があります。(出向から転籍のケースの場合は、出向先の就業規則等も参照できるハズですので見てみるのが早いでしょう。)

給与の等級段階が異なっていたり、就業時間が長くなったり・短くなったり、年間の休日休暇が多くなったり・少なくなったり、と実際のところ好転するのか・悪化するのかは現職と転籍先の規則を比較することでしかわかりません。

転籍は拒否出来るのか?

出来ます。

出向とは異なり、転籍はその性質上、現在の会社を退職する必要が出てきます。

”退職をさせる”ということは会社として本人の同意なしには基本出来ませんし、当然、退職後に先方会社と労働契約を結ばせることの強制も従業員にさせることは出来ません。そのため、転籍は拒否することができます。

転籍を拒否することのリスク・デメリット

転職を拒否すれば現職に籍を置き続けられるため、今の現職処遇水準を保てる可能性は高いです。

しかし、それ以上にリスクもあることをご理解頂けたらと考えます。もちろんあくまで”リスク”でしかありません。下記は現職が会社として”あなた”を転籍させたがっている、排出したいと思われている場合に発生しうる可能性です。

現職でのキャリアアップが望めなくなる可能性。

例えば、親会社から子会社への転籍オファー等の際、これは暗に親会社での今後の昇格・昇進はないという意味が含まれているケースがあります。

在籍元として対象者の活躍の場が今以上にないと判断されているが故に転籍の打診をされているケースが多いと考えます。

結局何かしらの異動が起こる可能性。

”あなた”に「転籍」してもらいたい≒現在のポジションから異動させたい、と捉えることもできます。

そのため、転籍を断ったはいいものの…結局は、どこかへ転居を伴う異動(転勤)を命じられたり、どこか他社へ出向を命じられたり、転居は伴いわないまでも閑職へまわされたりとする可能性も十分にあります。

継続的に打診され続ける可能性。

一度断ったはいいものの…二度、三度と数ヶ月おきに打診され続けることも可能性として考えられます。その際は、恐らく現職での今後のキャリアが極めて狭いことも示唆されるかもしれません。

一度断ればそれでおしまい!となればいいのですが、そんな上手く行かずにしつこつ何回かにわたって打診され続ける可能性は否めません。

転籍打診を承諾した方が良いケース

チャンスをもらえていると前向きに捉えることができる内容、例えば、転籍の際に職位・給与が上がるケースや子会社から親会社への転籍等、享受できるメリットがデメリットを上回りそうな際は転籍を受ける方が良いと考えます。

いち人事として考えるのは、処遇条件が良くなる転籍というのはそうそうありませんのでその場合はまずは承諾。その後のことは転籍してから考えるということをお勧めします。

転籍後の条件はしっかりと事前に確認しましょう。

転籍打診を拒否した方が良いケース

自身が許容できない内容での転籍条件であった場合は、拒否をしてしまうのも良いと考えます。もちろん、前述の通りリスクはありますが、リスクと天秤にかけてどうするかを決める必要はあります。

・勤務地が変更となり、生活環境に大きな変化がある場合
・給与水準が下がり生活に影響が出る場合

など、直近の生活に多大な影響を与えそうな場合は拒否、そして拒否に伴うリスクも鑑みて転職まで視野に入れるのもありと考えます。

(補足)企業によっては一定の年収差を補填する制度も

転籍に伴い、給与が大きく下がる場合その給与差を一定程度補填する制度・仕組みを持っている企業もあります。例えば…シンプルに言うと主に以下の二つのケースです。

①給与差を一時金で補填してくれるケース

現職での年収850万
転籍後の年収700万
となる場合に年収さの150万×係数

の150万から数百万を一時金として支給してくれるケース

②給与差を毎月の給与で補填してくれるケース

現職での給与が35万/月
転籍後の給与が30万/月

となる場合にこの差額の5万円を一定期間なり無期限に給与が転籍前の給与水準に戻るまで保証してくれたりするケース

これらの場合は転籍後の処遇も十分に配慮がされているため、転籍時のデメリットの一つにもなりうる、処遇減という要素がやや薄まります。

転籍が不本意・不満な場合は転職も選択肢

転籍を打診される場合は、転籍後の処遇が好転しない限りは基本的には企業からある意味その程度にしか取り扱ってもらえなかったとも言えます。

転籍先の仕事に”やりがい”を見出せ、会社生活が今よりも良いものになりそうな可能性があれば一度まずは転籍を受けてみるのもありですが、そうではなかった場合は、転職も選択肢に入れて良いと考えます。

自ら外に自身の活躍の場を見出しに行く方が転籍を受け入れるよりも余程幸せになるのではないでしょうか。

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さいごに

出向とは異なり転籍は非常に大きい決断を自身がしなければなりません。出向は会社の命令ですので基本は従うほかありません。しかし、転籍は自分での判断が求められる割には、会社からはなんとしても転籍をさせようと説得にかかってくるケースも多々あります。自身における今後の会社人生において転籍を受けることが良いのか悪いのかは”あなた”にしか決められないことですので、熟考の上でご決断をされることをお勧めします。

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